2012年9月18日火曜日

WCAN 2012 Autumn


先日、WCAN2012 Autumnに参加してきました。夏は参加しなかったので、半年振りとなりました。

今回は4部構成かつ各時間帯毎に3つのセッションから受講するセッションを選ぶという形式。僕はこの形式、結構気に入ってます。それは、登壇される方の講演内容によってはどうしても「今の僕には必要ない」内容のセッションもあったりしますので、そこをある程度回避できるからです。

ただ、正直各セッションの時間がもう少し長いといいですね。みなさんおっしゃってましたが、やはり40分ではそれほど多くのことは伝えられないと思います。とは言え、かかる費用や集客等考えると、このあたりが落とし所なんだろうとは思います。

僕の受講したセッションは以下のとおりです。

C-1:ペンギンとパンダで倒産も。これからのSEOの考え方
アイスタイル株式会社 木村 純 さん

B-2:アホでもWeb制作で食えた!あほ事業部創設までの軌跡
株式会社デック 大屋 慶太 さん

A-3:中小零細企業ECサイトの考え方 - クライアントと良好な関係を築いた考え方
春芳堂 伊藤 清徳 さん

B-4:Gamification Basic Starter Pack
株式会社ディディアイディ 中村 貴弘 さん

我ながら良いセッションの選択をしたと思います。いま僕がやらなければいけないことを考えると、これらを選択せざるを得ないです。(大屋さんのセッションだけは、消去法&タイトルへの興味本位でしたw)。それでは、各セッションを振り返っていきます。

※まだ手元にセッションで使われた資料が届いてないので詳しい記述は避けますが、また資料が届き次第加筆すると思います。


C-1:ペンギンとパンダで倒産も。これからのSEOの考え方
木村さんのセッション、非常にわかりやすかったです。クリエイティブと少し距離のある部分の話は普段なかなか聞く機会が少ないので、非常に勉強になりました。WCAN参加者はいわゆるクリエイターが多いと思いますので、そのあたりを意識した切り口でお話いただけたのが良かったです。おそらく専門的にやられている方からすると物足りなかったのでしょうが、僕の知識レベルに完全にマッチしてました。

SEOはロングテールで
とにかく今、SEOはロングテールが基本だということでした。SEOにリンクが重要項目であることには変わりがないが、リンクの数だけを集めても仕方がない。やはりリンク元のサイトの質が非常に重要だということです。リンク元のサイトの質が良ければ、自ずとCVRが上がり、業績につながるということ(もちろんCV数は、母数が違うので検索からのほうが多い)。

そして、特定のキーワードに頼ったSEOはGoogleのアルゴリズムの変更に振り回されずに済むとのこと。ビッグワードでランクが上がると、もうSEO業者への依頼をやめられなくなってしまう。それよりは総アクセス数を増やすことを念頭に置いた施策が重要になってくるということでした。

SEOにおいて重要な2つのこと
また、SEOで重要な2つのことを教えて下さいました。
ひとつは「ドメインを強くする」ということ。とにかく長く運用し、質の良いサイトからドメインに対するリンクを貰うようにする。

そして、もうひとつが「流入キーワードを増やす」こと。これは先述した通りロングテールなキーワード戦略ですね。特定のキーワードに頼らないSEOということです。

上記ふたつに有用なのが、やはりブログだということでした。ブログの重要性は普段の業務でも指摘されていますが、その理由を明確にお話いただきました。

以上かなりざっくりとまとめましたが、非常に面白く、かつ今後の業務に役立つセッションでした。ありがとうございました。



B-2:アホでもWeb制作で食えた!あほ事業部創設までの軌跡
大屋さんは面識もなく予備知識無しで臨みました。もちろんデックさんのサイトは見ていましたし、複数の友人のSNS上での発言から「面白い人」なんだろうな、とは思っていました。

このセッションでおっしゃっていたことは、「普通にニーズはない」ということだと思います。僕もそう思います。しかしこれを実践するのは非常に難しいことも理解しています。実践しているデックさんは素晴らしいですね。

名古屋では「あほ」だけではむずかしい?
面白いことだけをやって食べていけるのは日本だと大阪と東京だけ?ではないでしょうか。(すみません、他の都市のことは全然わかりません)。とにかく名古屋は、面白いことを面白がる人の総数がどうしても人口比率的に少なくなります。これは、東京で演劇がたくさん上演されているのに、名古屋で少ないのと似ている気がします。名古屋からはバーグハンバーグバーグさんは生まれなかったのではないかと思っています(硬い業務をやられているかは知り得ませんが)。

要は、名古屋で面白いことだけをやっていると、単発の受注はあるのでしょうが継続的な受注は難しいという事だと思います。しかし会社を経営していく以上当然案件を継続的に受注しないといけません。そこで事業部を2つ作る、というお話をしていただきました。

実際の業務にどのように落とし込まれているのか興味を持ちました。また機会があったら聞いてみたいと思います。



A-3:中小零細企業ECサイトの考え方 - クライアントと良好な関係を築いた考え方
伊藤さんは普段業務で接することもあるので、いつも勉強させてもらってます。この日のセッションもかなり掻い摘んでおられたとは思いますが、非常に勉強になる内容でした。

WEBを現実にあてはめて考える
伊藤さんがいつも言われているのは、WEBを現実にあてはめて考えること。もちろん良い仕組みを作る上でも大切な考え方なのだろうとは思いますが、この日言われていたのは、これをやることによって「クライアントのネットに対する意識的障壁を下げることができる」ということでした。

僕も零細企業に対して販促全般に関わらせていただくことがあるのですが、ことWEBに関して言えば最初から「全然わかんない」という姿勢のお客さんが殆どです。その場合、WEB施策を全部業者に投げたりできない中小零細の社長さんに、どうWEBに向きあってもらうかが重要となってきますので、僕にとって結構大きなヒントでした。

あとこれも痛感しますが、その規模の企業は、ブランドコンセプトや企業カラーなどは一切ない場合が多いです。しかし我々がそれを具現化するスキルがあると良いとのことでした。

どの立場にたって考えるか
最後の方に仰っていたのですが「我々は売り手にはなれない。だから徹底して一般消費者になる」とのこと。これ、重要ですよね。売り手の気持ちは売り手しかわからないですが、消費者の気持ちにはなれる。そして、どちらかというとその方が必要な目線となってきます。伊藤さんは実際にオフィスで飼う犬を、その経験を得るためにECサイトで購入されたようです。

その他にもたくさんエッセンスが散りばめられていましたが、どれも今後の業務に役立つ内容でした。


B-4:Gamification Basic Starter Pack
中村さんのセッションは、割りとバズワード感のある「ゲーミフィケーション」についてでした。お話の冒頭で中村さんが「ゲーミフィケーションって言葉、初めて聞いた人」と問われて、かなりの人数が挙手されていたのに驚きました。結構いろんなメディアで取り上げられている印象を持っていたので、8~9割の人が聞いたことあるレベルだと思っていましたが、全然少なかったですね。

ゲーミフィケーションとは
「ゲーミフィケーション」という言葉や説明に使う用語等は、正直ものすごくゲームの話ばかりです。しかしゲームだけの話じゃないというちょっとした難しさがありますね。中村さんのお話は、ものすごくきちんと丁寧にされていましたし非常に面白いものでした。が、聴衆側が一度ゲーミフィケーション関連の書籍を読んで、ゲーム≒ゲーミフィケーションだということを掴んでからでないと、ゲームの話だと取られる危険性があったと思います。

ゲーミフィケーションで必要なこと
ゲームには必要なロールがあるとのことです。

  • ルールクリエイター
  • ゲームマスター
  • プレイヤー
  • エネミー
  • サポーター
  • オーディエンス

上記を実例を上げてマトリクスで示してくださいました。

ゲームを作るときに必ずやることがあると仰っていました。それは以下の5つです。

  • 勝利条件の明確化
  • 関係性構築
  • 行動設計と結果の明示
  • フロー状態への誘導
  • 習熟度の把握

これらがないと、ゲームにならないとのことです。ゲーミフィケーションでは、このゲームを作る方法論を利用して様々なコミュニケーションを円滑にしよというものだと思います。そこにはルール作りも必要だし、ソーシャルな要素も必要となってきます。これらを綿密に設計して、施策へ落としこむことが必要となってくるのでしょう。

正直ゲーミフィケーションは非常に難しいと思いますので、僕自身まだまだ理解できていません。ただ、興味はあるし本も少し読んだので、なんとかうまく業務に取り入れたいですね。

※まだ手元にセッションで使われた資料が届いてないので詳しい記述は避けますが、また資料が届き次第加筆すると思います。

2012年7月23日月曜日

スマートデバイスにおけるUX/UIデザインワークショップ in名古屋

先日友人の主催するセミナー&WS、「スマートデバイスにおけるUX/UIデザインワークショップ in名古屋」に参加してきました。

場所は、今をときめく地元企業のAチームさん。とても素敵なオフィスで、びっくりしました。

そして講師は株式会社ワンパクの阿部さん。阿部さんによるセミナー&WS参加は二度目で、前回は昨年行われた「コミュニケーションデザイン」に関するワークショップでした。その時の資料は今でも何らかの企画をする時に目を通させて頂いてます。

さて、今回のお題は「スマートデバイスにおけるUX/UIデザイン」。UX(ユーザーエクスペリエンス)とUI(ユーザーインターフェイス)の関係性などはツイッター上での議論も散見します。非常に抽象的な部分が多いトピックなのがその原因かと思いますが、僕自身は色々な方の意見やセミナー参加などから結構すっきりと(自分なりに)理解できていて、それ自体よりはその設計方法に興味が移っています。

UXD(ユーザーエクスペリエンスデザイン)となるとこれホントに難しい気がします。そもそもUXDとは、顧客のUXを追求しているだけでは全然ダメだと思っていて、大前提として企業に利益をもたらさなければいけないわけです。要はビジネスニーズありきですよね。しかも僕らは何でも出来る巨大企業に所属してるわけでも無いですし、それぞれの得意分野がある中小零細企業に所属しているわけです(※仲間のなかには比較的大きな企業に勤めている方ももちろんいますが)。そんな僕らにも出来るUXDのやり方ってものがもう少し整理できればいいなと思っていました。

人が何かの気持ちを持って、何らかの行動を起こし、その結果様々な体験をする。それは瞬間瞬間のものもあれば、その瞬間を累積したものや、行動に移す手前の気持ちや、数年後に何かのキッカケで振り返ることもある。これらがUXだと思います。これを例えばWEBや広告を生業としている受託企業の僕らに設計できるのでしょうか。もうすでにそれはWEB制作会社だったりの仕事の範疇では無いのでは、と。

やはり(当たり前かもしれませんが)すべての発信は依頼主の企業が主体となってして行かなければいけない気がします。要は依頼主が自社製品やサービスによる良いUXを顧客に提供していくことを決める、ということです。そこに、広い知識を持ちつつ(WEB制作だったりの)どこかのパートに特化した我々のような企業がサポートする形でコミットしていく。

で、実は僕は、そんなこと(UXD)が出来る企業になる必要があるのかどうか、という視点も必要な気がします。もちろん知識や経験としては持っておくべきだと思いますが、「全体のことは他の企業にお任せして、クリエイティブのところで貢献します」とか、全然有りじゃないでしょうか。

UXについての知識自体は共通言語として共有しつつ、UXDはそれが得意な会社がやればよいのでは?というのが今のところの感想です。そうしないと特に地方においては、すべての企業がすべての能力を備えようとする。またしばらくすると考え方が変わるかもしれませんが、いまはそんな感じで考えています。

その他アフォーダンスや対応づけのお話もしていただきました。これらは阿部さんからの資料の提供を待って、再度まとめたいと思います。


ワークショップについて

ここからはワークショップについてまとめます。今回のワークショップは某有名音楽教室(子供向け)を題材として、その購入検討者(新規・既存)にWEBを通じてどのような体験を提供し、最終的に契約まで持っていけるかというものです。

こういったワークショップで大切なのは「下手でもいいから最後までやる」だと思いますので、品質はそれほど優先せず、経験することを大切に進めました。

ペルソナ作成

まず、対象となるひとのモデルを共有するため、ペルソナをつくります。今回はペルソナ作成は主目的ではないので、割りとザックリ妄想混じり、メンバーの友人や家族を思い浮かべながら意見を出し合い、それを二人のペルソナに落としこんで行きました。

ここで思ったのが、ペルソナ作成が主目的ではないワークショップにおいては、主催者側がペルソナを提供するというのも有りなのではないかということです。僕自身はHCDセミナーでペルソナ作成を経験していますが、とてもじゃないですが普段の業務でペルソナなんて作れないなーというのが実感です(※妄想ペルソナは除く。というかそれはペルソナではないですよね)。まずはしっかりとした数のインタビューやログの解析をして、それを適切な手順を踏んで作っていくものだと思うのです。もしそうでない、簡単にそれなりの精度のペルソナを作る方法があればぜひ習得したいです。

また、ペルソナ作成が主目的ではないワークショップにおいて参加者がペルソナを作ることに意味があるのだとすれば、それはそこを理解した上で取り組みたいです。


利用シーン・ユーザーシナリオ作成

次にそのペルソナがWEBサイトを利用するシーンと、そのシーンで想定できるシナリオを作成します。ここは模造紙を壁に貼る、いつものブレスト方法を使いました。やはりHCDセミナー受講者を中心として「これが一番やりやすい」というのが浸透してます。

まずシーンをチームで検討。「こんなのもあるんじゃない?」とか言いつつペタペタとポストイットに書いて貼っていきます。今回は「家で」「移動中」「外出先」としました。

次にシーンに対するシナリオを作っていきます。ここでも細かい事象レベルに分けて考えて行きました。「テレビを見てる」「電話中」「PCに向かってる」などの次に「○○のような番組を見て」「○○と電話をしていて」「○○のサイトを見ていて」という感じでどんどん進めていき、さらにそこにユーザーの感情を加えていきます。


ユーザーニーズ洗い出し

ある程度シナリオが出揃ったら、何らかの感情を持ったユーザーが求めるコトを書きだしていきます。「最寄りの教室が知りたい」「適したコースを知りたい」「OB・OGがどんな人なのか知りたい」などです。

コンテンツ・機能の洗い出し

そして上記のニーズを満たせる、WEBコンテンツを検討していきます。今回は時間もそれほどなかったので絞って考えてることにしました。その絞ったニーズとは「ウチの子供に向いてるコースは何?」「教室に通うと将来どんな人に成長するの?」というものです。

それらに対して、「こんなコンテンツやシカケを作ったらニーズを満たせて、コンバージョンにつながるんじゃないか?」というものをチームで相談してアイデアを出し合いました。

コンセプトダイアグラム作成

次に、ユーザーの気持ちや行動を一枚の紙に落としこんで「コンセプトダイアグラム」を作成しました。

これはエクスペリエンスマップに似た機能を持っていると思います。他の参加者の方が仰っていましたが、エクスペリエンスマップは作るの大変だし、WEBでどうこうというよりももっと大きな動きとして考えないと使えないと思う、ということでした。

その点、この「コンセプトダイアグラム」はもう少し小さいスケール感でも使えるのではないかと思いました。ユーザーの気持ちの動きを含めて適切にコンテンツを提供することで、企業の目的である「契約」につなげていく一連の動きを表現できたのでは無いかと思います(何度も言いますが、クオリティは問いませんw)。

ただ、あとから振り返るともう少し前後の気持ちから拾い上げたほうが良かった気がしています。サイトに来る前の気持ちから、契約後の気持ちまでを描いていくのがUXDではないのかと思いますので。

ペーパープロトタイプ作成

今回は時間が無かったのでここは割愛しました。ですので、実はUIに関してはあまり触れることができませんでしたね。しかし、スマートフォンのようなデバイスのデザインに関しては書籍も沢山出ていますし、WEB上にも情報が沢山あるので、それ程重要ではないと思っていました。

相互評価・観察

最後に、全員で各チームの模造紙の前に移動して、プレゼンテーションです。僕らのチームは、久々に僕がプレゼンしました。

僕個人の感想として、すべての成果物に対して説明を細かくしても聞いてもらえないと思ってますので、細かい部分は相当端折り、それより企画のキモの部分を感情を込めて説明することを意識しました。まあそれなりの発表が出来たのではないかと思っています。

それとあとから少しだけ後悔したのですが、プレゼンに「ストーリーテリング」の手法をエッセンスだけでも取り入れればよかったと思っています。こんなチャンス無かったですよね。。。残念。

僕は最近色々なワークショップに参加していますが、ワークショップの良い所は短時間でお手軽に講師の持っている経験をエッセンスお取り込むことが出来るというところだと思っています。品質は、こんな短時間でいいものができるわけがないです。ただ、いいものにしようとするプロセスは非常に重要だと持っています。でも優先すべきは最後までやり切ることですよね。そこを意識しています。だから実は「やりたいようにやって下さい」は僕的には必要ではなくて、今回であれば阿部さんの「僕はこうやっているから、今回はこのやり方でやりましょう」という方が良かったと思います。それがとても知りたかったです(エッセンスだけでも)。それをいかに自分のやり方にしていくかは参加者次第だと思いますし。

それに加えて、ブレスト/ファシリテーション/プレゼンテーションの練習だと思っています。本当は毎回プレゼンしたいです。だけど、普段はちょっと遠慮しています。

懇親会→二次会→三次会

すべてのチームの発表が終わって、懇親会です。この懇親会がスゴく良かったです。実は参加者の中に株式会社ツルカメの代表:森田さんが(なんと!)受講者として参加されていたのですが、今回の講師の阿部さんと熱い話もありましたし、懇親会での前半は阿部さんとしっかりお話ができて、いろいろヒントを頂けました。

それにしても阿部さんも僕と2つしか歳が違わないんですよね。少しでも追いつけるようにこれからも修行するしか無いですね。。。頑張ります。

2012年7月4日水曜日

HCD-Netセミナーin名古屋2012(第3回)ストーリーテリングワークショップ


先日、今年のHCD-Netセミナーの第3回目に参加してきました。
今回もまずは座学で小林先生のHCD概論を学び、その後はLINEで話題のNHN JAPANにいらっしゃった酒井さん(丁度退職と重なったそうです)による「ストーリーテリング」のワークショップが行われました。

HCD概論|小林先生(愛知工業大学情報科学部)
今回のHCD概論では、主にアフォーダンスと設計プロセスについて学びました。アフォーダンスに関しては、少しかじったことがある程度ですが、今回お話いただいた内容に関しては概ね理解できていました。そして続いてデザイン設計プロセスについてのお話をしていただきました。iPhoneのUSBケーブルの形状を例に講義を進めてくださいましたが、たしかにあの形状はユーザーフレンドリーではないですね。すごく抜きづらいというのは僕も認識していました。ここで焦点になってくるのは、優れたガイドラインを持つアップルがなぜこういうものを作ってしまったのかということですが、小林先生はその理由として

  • ターゲットを若者に絞っている
  • 不自由な体制での利用を考慮していない
  • 幹部の要求

上記を挙げられました。
僕は「幹部の要求」なのかなーと勝手に想像していました。製品は使いやすければ良いというわけではないと思うので、ところどころではデザインを優先する場面もあるでしょうし、アップルに関して言えばその傾向が強い気がしています。
そして、使いやすい製品を作る場合に必要なプロセスとして、

  • 合意形成のプロセスを徹底する
  • ターゲットユーザーを明確にして合意を形成しておく

といったことが必要になってくるということです。

ストーリーテリングワークショップ|酒井洋平さん
そして、ワークショップに入っていきます。UX-TOKYOで「ユーザーエクスペリエンスのためのストーリーテリング」の翻訳に関わられた酒井さんが進めてくださいます。

個人的にこのワークショップは非常に楽しみにしていました。僕は立場上、所属する会社の社長に稟議を通すこと、部下の指導をしなければいけないこと、またお客様に向けてプレゼンをしなければいけないことが多々あります。そんなとき、このストーリーテリングの技術を織り交ぜることで説得力が増すのではないかと思っていたからです。

しかし以前、アクアリングの平野さんが主催された「ユーザーエクスペリエンスのためのストーリーテリング」読書会に参加しましたが、正直あまりわかりませんでした。実はこの本は翻訳本ということと内容が抽象的なことで、ちょっと理解がしづらいところがあります。物事をストーリーにして話すと伝わるのは非常にわかります。しかし、そのストーリーをどうやって伝わるものにするのかというところがハラオチできないでいたのです。おそらくジャンルとしてもまだまだ始まったばかりのものということもあるのでしょう。いまいちメソッドが確立されていないように思います。

さて本題のワークショップについてです。今回は「飲み会の設定」「旅行の計画」「ソーシャル・ネットワーク」の3つからそれぞれのチームでお題を選び、ストーリーを組み立ていきます。

僕らのチームは「飲み会の設定」としました。飲み会の設定を通じて困ったことを抽出し、それを解決するアイデアを簡単にストーリーに組み込んで発表するといった感じです。

まず、インタビューで「ストーリーの断片(アネクドート)」を集めます。やってみて思ったのですが、このインタビューがやっぱり難しいです。今回もいわゆる「半構造化インタビュー」なのですが、聞き出したいことを明確にしていないと結局肝心なことを聞き出せないまま終わってしまいがちです。で、あとから振り返って「アレも聞けてない、これも聞けてない」となります。こうなってしまうと、後のステップである「ストーリーの断片」を選ぶときに、非常に難しくなってしまうと思います。

次にインタビューした内容を若干ストーリー仕立てにして発表していきます。そこにはインタビューから抽出した様々な「ストーリーの断片」が内包されていますので、それをみんなでポストイットに書き出して行きます。そして、ポストイットに書きだした「ストーリーの断片」をストーリーモデルのひとつである「英雄構造」に落としこんで行きます。
「英雄構造」とは、
【日常の世界】
【冒険へのきっかけ】
【はじまりと試練】
【冒険の世界】
【目的の達成】
【日常世界への帰還】
という流れの、ストーリー作りのフレームワークのようなものです。

ポストイットに書きだして英雄構造にあてはめた「ストーリーの断片」を選ぶ作業に入っていきます。僕らのチームは、まず似たような「困ったこと」をグルーピングして行きました。同じような内容のものをそぎ落とし、近い内容のものを近くに置いて、それぞれのストーリーを俯瞰しました。基本線はそれぞれが発表したストーリーなのですが、インタビューの不備から辻褄が合わなかったところを他のストーリーから補ったりもしました。

そうして英雄構造における
【日常の世界】
【冒険へのきっかけ】
【はじまりと試練】
【冒険の世界】
までができたので、今度は
【冒険の世界】
【目的の達成】
【日常世界への帰還】
を作っていきます。

【冒険の世界】とは、飲み会を設定するにあたっての障害となるようなものを、いかにして克服して目的にたどり着くかを描いていくものです。で、この【冒険の世界】を描くために不可欠なのは【目的の達成】というゴールの設定。主人公はどうなりたいのか、ということを最初に決めておかないと、ストーリーもヘッタクレもありません。
僕らのチームのゴールは「飲み会の開催」としました(当たり前だと思われると思いますが、これが大切だと思います)。

飲み会を無事開催するために、どうやって様々な「困ったこと」を乗り越えていくか。今度は個人作業でアイデアを練り、「困ったこと」を解決するサービスなり製品なりを考えていきます。ここは正直思いつきのアイデアレベルで進めます。アイデアを出すことが目的のワークショップではなく、ストーリーテリングをひと通り経験するワークショップですので。

で、なんとかひねり出したアイデアを加えた、「英雄構造」のストーリーをチーム内で発表していきます。それぞれなかなか面白いアイデアも出て、ストーリーも破綻していないものが発表されました。そして、チームから一人選んで全チームの前で発表し、酒井さんに講評してもらってワークショップは終了となります。

最後の発表の時に、サービスを軸にした、いわゆる「プレゼン調」に発表する方がいらっしゃったのですが、ストーリーとして語らなかった理由は何なのかが気になりました。どちらが正しいとかそういう問題ではないと思いますが、やはり主人公を置いたストーリーとして語っていただいたほうが感情も移入できるでしょうし、情景も浮かぶような気がしていました。

今回のワークショップでは、ストーリーの作り方が少しはわかったような気がしました。しかしインタビューはなかなか提案段階では取り入れるのは難しいかもしれないとも思います。そこで、酒井さんが仰っていましたが、WEBサービスのユーザーフォーラムなんかで「困った話」をかき集めるだけでも「アネクドート」にはなり得ると思いますので、今後のプレゼンから少しずつ取り入れていきたいと思っています。



2012年6月26日火曜日

次世代コミュニケーションプランニング


何人かの人が良いと言っていたので、読みました。

最終的には「コンテクスト」を理解し、そのなかに埋め込むにはどういったコミュニケーションの方法があるかを考えましょう、といった内容に落としこんでいます。その中で使う「メディア」に対する考え方や「クチコミ」「ソーシャル・ネットワーク」を使うには、といったことが書いてあります。

消費者をよく見る。彼らはどういったコンテクストの中で生活しているのかを理解する。その上でその商品がもっとも機能する場面を考え、演出し、それをストーリーにする。ということを俯瞰して捉え、全体像を描ける。コミュニケーションプランナーとは、そういった人材ではないでしょうか。

とかく最近はコンテクストの重要性がいたるところで言われています。これはどんな事を企画するときにも必要なな考え方だと思います。

  • 対象となる人や組織のことをしっかりと理解し、適した形で商品やサービスを企画する。
  • どのように利用するかを、その利用前後や累積的な経験まで含めて考える。
  • その中で広告の果たす役割がどこにあるのかを考えて最適な広告手法を検討し、クリエイティブを作り出す。
  • 利用後の消費者の気持ちも考え、その商品やサービスのことをどう捉えるか、どのような感情を抱くのか、その結果として商品やサービスの評判をよく出来るように設計する。

合わせて考えたいのが、コンテクストは対象となる人や組織にだけあるのではなくて、社会の状況や商品ジャンル、ブランドや商品そのものにもコンテクストは存在するので、これらのコンテクストを組み合わせて企画することが必要となってきます。

こう考えると、これを出来る人ってものすごく有能な人ですね。今の僕なんかにはとてもじゃないけど難しい。だけど、ここを考えて行かないと僕が所属しているようないわゆる「コモディティ」な業態をとっている中小零細は価格競争に陥り、先細りしていきますね。実際価格面を評価されてお仕事を頂くことも多いです。

で、思うのは何も自社内ですべてを賄う必要なんて無くて、足りないピースは外に求めれば良いのではないでしょうか。

先日もある方からお誘いを受けてあるプロジェクトに参加しました。そこではそのプロジェクトを提案するに至るまでを担当したプランナー(もちろん企画にも参加)、企画とクリエイティブに指示を出すディレクター、そして主にビジュアル面で手を動かす役割を担った僕(僕に求められたのは突貫力と割と自由のきく立場。)この3人で提案までしてきました。残念ながら結果は失注となってしまい、僕らの短い期間のプロジェクトがその後も続くことは無かったのですが、ひとつの形として非常に面白かったです。

こうしたことは僕の周りではまだそれほど行われていないのですが、広告の企画というものが非常に広い範囲で設計しなければいけなくなっている昨今、超絶有能な人材がいない場合は持っているスキルを活かして複数人がプロジェクト毎に集まり、終わったら解散するといった仕事の仕方も有りなのではないかと思っています。これがフリーランス同士ではなく企業同士でできれば面白くなるだろうな、という感想を持ちました。

さて、大きく脱線しましたが話を本に戻します。このエントリーに頻出する「コンテクスト」というのは「文脈」と訳されます。文脈とは、そのモノやコトが持っている背景を理解していないと通じないような内容のことです。例えば、


「これが、悪い「は」ですか?」


という文があったとします。この「は」は「葉」なのか「刃」なのか「歯」なのか分かりませんが、前後に文章があれば例えそれがひらがなで書かれていたとしても理解できます。


「はい、今この木から摘み取りました。
「これが、悪い「は」です?」
「そうです。これが悪い「は」です。」

前後の文章があると、「木から摘み取りました」ということばから「は」が「葉」であることが想像できます。


この「コンテクスト」の理解なしに、広告の対象となる消費者を定めたり、定めた対象に響く広告を企画することはできないと言われています。従来のコンテクストを理解し、新しいコンテクストをプランニングする。これこそがコミュニケーションを生み出す「もと」となってくるのではないでしょうか。

こういった「もと」の段階を経て「ストーリー」や「シナリオ」を設計し、それに合わせた広告を企画する。こういう事をやらないと「狙って広告を成功させる」ことが難しいように感じます。

また、本では広告は認知だけを担っているのではなく、購入後や使用後に良い印象を与えるためにも役立つことが出来ると説いています。先述した「利用前後や累積的な経験まで含めて設計する」ことが重要になっているということですよね。さらに「コミュニケーションのプランニングは必ずしもAttentionから始まるものではない。」とも書いています。

最後に、自分メモ用も兼ねて、本に書いてある「コンテクストプランナー」と「コミュニケーションプランナー」にどんな職能が必要かを列挙してまとめとしたいと思います。

  • その企業・ブランド・商品を取り巻くコンテクストはどう構成されているか
  • その商品が売れる理由をどう考えるか
  • その商品(やカテゴリー)に関する現在のパーセプションはどうなっているか。そこに解決すべき課題はあるか。
  • その企業・商品が過去に培ってきたコミュニケーション上の資産は何か
  • ターゲットとする消費者層のメディア状況はどうなっているか。必要であればどのようなメディア/広告枠を開発すべきか
  • その商品が最も「機能する」場所・シーンをどのように考え、演出できるか
  • PR上・広告上のメッセージ発信のルール/ストーリーをどのように作るか
  • それらの全体構造をどのように描くか
  • それらを実現するためのスタッフを外部・内部含めて集めてこられるか

以上のことを考え、実行する職能が必要となってくる


2012年6月4日月曜日

ゲームにすればうまくいく―<ゲーミフィケーション>9つのフレームワーク


読みました。

はじめに「ゲームにすればうまくいく」は「ゲームをつくればうまくいく」と混同してはいけないということが書いてあります。ゲーミフィケーションは、ゲームにすることではなくゲームの要素を様々なことに落としこむことで、単純にゲームをつくるのとは違うということをしっかりと認識しておきたいです。

このゲーミフィケーション、最近よく聞く言葉でありバズワード的な感じもしますが、僕自身丁度仕事に取り入れなければいけない案件が発生していたので、急いで購入して読んだという感じです。読み進めるうちに思っていたのが、これもすべて「UX」にまつわるお話で、よいUXを提供するためにゲームの要素を取り入れるということですね。利用前後、利用中、そして累積的なUXも意識しなければならないことに気が付き「この本、読むのは簡単だけど、実際やるとなると難しい」というのが率直な感想です。

さて、この本ではゲーミフィケーションを9つのフレームワークにわけて、一つづつ考察してありますので、各章ごとに感想をまとめていきます。

レベル0|なんのためにゲームにするのか
実際にゲームの要素が取り入れられている事例の代表的なものに、ポイントカードがあります。「来てくれる毎にスタンプ等を押して、ポイントが溜まってゆくのを視覚的に感じながら次回の来店につなげる」というものですね。ただ、この方法はすでに世の中に溢れているがためにゲーム感が少なく、効果の程は微妙だと思います。参加者に提供される価値が大きければ良いのでしょうが、だいたい費やした費用の5%くらいの価値還元でしょうか。しかしちょっとした工夫を取り入れることでそのゲーム要素を増幅し、顧客のロイヤリティを高めることが可能となる、ということです。
工夫の例としては

  • 何度もやってしまうように
  • 短時間で理解できるように
  • なんとなくやりたくなる

などがあります。
顧客のロイヤリティが高まるということは、長期にわたって顧客が自社のビジネスに関わってくれるということであり、それはLTVを大きくすることに極めて重要な意味を持ちます。



レベル1|なぜ「計るだけダイエット」で痩せるのか
Keyword:可視化・目標

数多あるダイエット法の中からNHKの番組で紹介された「計るだけダイエット」を挙げ、ゲーミフィケーションの視点から考察していきます。
なぜ「計るだけ」で痩せられるのか。これには2つのゲーム要素があり、それは
・日々の体重データの数値による「記録」
・データをグラフで表す「可視化」
のふたつ。
この2つのうちの「可視化」がゲームにおいては重要で、古くはコンピューターゲームの「点数(SCORE)」がそれです。

この数値化し可視化するときに大切なのが、「なにを可視化するか」で、参加した人が面白さを実感できるようなものを可視化します。そして、可視化するということは「フィードバックを返す」ということでもあり、それが参加者の行動を変えてしまうようなものにしなくてはいけません。



レベル2|なぜ高機能な電子レンジはつかいにくいのか
Keyword:オンボーディング

ここでは、高機能な電子レンジを著者がまったく使えないという事例から展開させていきます。たしかに、(特に日本の製品は)技術の進歩とともに身の回りにある様々な機器の高機能化が進んでいますね。高機能になることは大歓迎なのですが、それによってわかりにくくなり使う意欲が減衰しているのであれば、本末転倒そのものです。そこでオンボーディングの出番となります。

オンボーディングとは、導入部分のわかりやすさに関わる部分のことで、ゲーミフィケーションの視点で見た場合には「はじめての参加者に、どれだけ簡単に面白さを体感してもらえるか」に対する手法です。
サービスを知ってもらう場合には、まず興味を持ってもらい、次に実際に参加してもらい、結果として価値を感じてもらわなくてはいけません。ここの初動の部分をいかに短く簡潔に伝えるかということですね。

サービスへの参加者は非常に忙しいので、特に無料で始められるようなものに関しては最初の5分で継続するかどうかの判断を下すとのこと。そこまでに興味を持ってもらわなければ、継続検討の対象から外されてしまいます。



レベル3|なぜハーレーは縮小する市場で新車販売台数を増やし続けられるのか
Keyword:ソーシャル、世界観

この章では、ハーレーダビッドソンやディズニーランド等の事例を挙げながら、世界観とソーシャルについて考察していきます。ソーシャルとはいわゆる「SNS」ではなく、もう少し広義な意味での「人間同士の相互作用」と定義されています。

ハーレーとディズニーランド、どちらも他にはない独自の世界観を構築しています。これが最大の魅力になっているのは間違いないです。その世界観は全てのものに徹底的に反映されています。世界観とはいわば「ストーリー」にも通ずるものがあり、そのストーリーもいま非常に興味のある分野です。ここは他の書籍等でしっかり学んでいきたいですね。

さらに、サービスへの参加者が、そのサービスの世界観に共感した後はソーシャルで参加者の交流を促進し盛り上げていくことも大切です。ハーレーであれば、H.O.G(ハーレーオーナーズグループ)があり、そこには様々な催しや施策を実行して参加者同士の交流などを活発にする仕組みが組み込まれています。これはWEBをハブとしていますが、リアルの行動が主軸となっています。



レベル4|なぜセブンイレブンは真冬の2月に冷やし中華を売るのか
Keyword:チューニング、上級者向け

ここでは、セブンイレブンが2月に冷やし中華を置くことになる事例を中心に、参加者を理解してサービスのチューニングをしていくことの大切さについて書かれています。参加者と長く付き合っていくためには、長く参加してもらえるようなサービスを提供しなければいけません。しかし、サービス開始時にはそのサービス自体が多くの仮設で成り立っているので、実際の参加者の行動から要望を読み取り、適切に提供するサービスに落としこんでゆかなくてはなりません。参加者をの行動から要望を読み取ることは、参加者をよく見ると言うことにほかならないと思います。参加者にアンケートを取ったところで、本当の要望など見えてこないですね。それはアップルと日本の電機メーカーを比べれば分かることですが、顧客は目にしたことがないものを要求することはないということです。

参加者をよく見るには時間をかけてじっくり観察することが有効だと思いますが、WEB系のサービスであればデータが豊富に取得できるので、より容易にチューニングを行なっていけるのではないでしょうか。

次に、上級者向けの施策について言及していきます。上級者=よりロイヤリティの高い優良顧客と捉えることが出来、彼らはLTVの高さもさることながら口コミ効果を最も期待できるということが重要です。ですので、上級者向けの飽きさせない工夫をサービスに含めていくことが大切となってきます。



レベル5|なぜAKB48のじゃんけん大会はただの「じゃんけん」なのに盛り上がるのか
Keyword:ゴール

参加者が、サービスに継続して参加することによって得られる「価値」を提供することが、最も重要な項目となります。参加者は得られる価値がなければ参加すらしてくれません。たとえ参加してもすぐに「離脱」してしまいます。参加者の期待する価値をしっかりと理解し提供することこそが、サービスを提供する意味となりえるので「このサービス通じて、誰にどんな価値を提供するのか」から企画をスタートさせることが重要。しかし往々にして提供したいサービス主導で企画が進むことが多いです。それは技術的シーズが先に立つことと同じで、ついつい「誰々に○○を伝えたい」という企業側の都合でサービスを企画してしまうからですね。

「このサービスを利用して、何がしたいんだっけ」と思わせないようにしないと、継続して参加してくれることは無いということです。

僕の今進めている企画も油断するとどうしてもそちら側に流れてしまいます。気をつけたいと思います。



レベル6|ゲーミフィケーションは「おもてなし」を表現するテクノロジーになる
Keyword:おもてなし

ゲーミフィケーションとは、おもてなしを表現するための手法であり、それが行い易いというだけのもの。参加者との長期的な関係を前提とし、よく観察・理解し、最適なサービスを通じて求める価値を提供し続けることで、参加者のロイヤリティが高まり、結果としてLTVが高く口コミの影響力を強く持つ優良顧客になってくれるということです。

今の時代は、企業の側からの一方的なコミュニケーションは求められていないことが多く、相互に影響しながらよりよい関係を構築していく時代で、それをゲーミフィケーション可能にできるとして、締めくくっています。



まとめ
ゲーミフィケーションについては、興味を持ちだしてから企画に落としていくまでの情報収集で「単なるゲームをつくることではない」ということは理解していました。

結局顧客を理解することから始まる一連の流れにおいて、やはり大切なのは「誰にどんな価値を」ということがスタート地点にならないと、サービスの存在価値がなくなってしまうということですよね。はたしてそのサービスは誰のためのものなのかということをしっかり初動の段階で整理し、できればユーザ調査を実施してペルソナ・シナリオ作成をしたほうがよりブレのない方向に進んでいくことを再認識しました。さらにUXマップを使えるスキルが身につけられれば、自分の仕事も格段に精度が上がるのでしょう。

そして今回もHCD関連で触れた知識が結びつきました。今度ワークショップが行われる「ストーリーテリング」についても出てきましたので、しっかり身に着けていきたいと思います。


2012年5月28日月曜日

ビジネスモデル・ジェネレーション (勉強会)


5/27、HCDセミナー翌日に浅野先生のご厚意でビジネスモデル・ジェネレーションの勉強会を開くことが出来ました。

今回は主催(と言っても有志の勉強会なのでほとんど何もしてませんが。。。)させていただいて、やはり身につけるなら自分で動くに限る、というのを思い知りました。
機会を無駄にしたくないという意識がかなり強まるので、事前の予習に身が入ります。僕の場合は本を二度ほど読んだ後、自分の勤めている会社の分析をひとりでやってみました。このひとりでやった分析が、「あ、ここわんかんないな。」とか「ここにこういう要素を加えると、こっちまで影響が出るよね」みたいな、ビジネスモデル・キャンバスを使う感覚がつかめて、すごく役に立ちました。

このビジネスモデル・キャンバスというものはすごく面白くて、ある企業(個人でもなんでも)の既存のビジネスの分析にも使えますし、その後の展開を検討するときにも使えます。どうして使えるか。それは「可視化」が非常に容易にでき、しかもその共通言語化がすごく簡単にできる事です。

このキャンバスを使うと、おそらく経営者から若手社員まで、同じ土俵で今後のビジネスについて議論することが出来るのではないでしょうか。実際今回の勉強会でも、活発な議論がなされたと思います。

ここでも役に立ったのが、「模造紙」と「ポストイット」と「プロッキー」。この3つがあれば、ブレストは簡単に活発なものにできる気がします(ある程度の経験は必要かもしれませんが)。浅野先生もおっしゃってましたが、ビジネスモデルの話は、机に座って手元のメモや資料を見ながら話すと、まとまりにくいですね。それを可視化すること、しかもポストイットを使って自由に貼ったりはがしたりできることが、ものすごく色々なことを気づかせてくれて、しかも「そろそろ収束させないと」となった時にも、それがかなり簡単にできます。

さて、今回の勉強会は、セミナー形式ではないのでワークショップがメインとなります。ワークショップで何をするかというと、お題の企業を決めて、キャンバスを使って分析し、その後その企業をさらに発展させる、収益が見込めそうなビジネスモデルを考えるというものです。

レッスン1|分析
お題になっていただいた企業は、参加していただいた大和さん、藤田さんが勤めて(?)いらっしゃるグランフェアズさんです。グランフェアズさんは非常にユニークなかたちで事業を行なっていて、今回参加された方の所属する企業の中では、お題に最も適していたのではないでしょうか。

まずは、グランフェアズさんの現在のビジネスモデルを分析していきます。分析方法は、もうこれでもかというくらいに、参加者がグランフェアズさんの事業について根掘り葉掘り聞き出し、それをなるべく細かくポストイットに書きだして、ビジネスモデルキャンバスに貼っていきます。大和さんはグランフェアズさんを経営されていますので、ヒアリングするにはこれ以上ない方でした。

このビジネスモデルキャンバスの構成要素は以下のとおりです。
・顧客セグメント
・価値提案
・顧客との関係
・チャネル
・主な活動
・主なリソース
・主なパートナー
・収益
・コスト
以上9つのブロックに分かれていて、それをどんどん埋めていきます。そうすると面白いくらいにわかりやすい形でビジネスモデルが可視化出来てしまいます。

そして、グランフェアズさんのビジネスについて参加者全員がある程度理解する、という段階まで進めて、一旦食事に出ました。

レッスン2|応用
食事から戻って、第二部です。第二部では、グランフェアズさんのビジネスをさらに発展させるべく参加者でブレストし、可視化していきます。

僕らのチームは、大和さんが近くにいて下さったので、まず「今後の展開として考えていることはありますか?」という質問をしました。すると「○○にサービスを提供したい」という答えを返して頂けましたので、そこを軸に進めて行きました。この、顧客から考えるということが非常に大切な様で、やはり顧客から出発しないと技術的シーズ主導になってしまう可能性が高いように思います。もちろんニーズばかりではダメですが。

さて、この顧客に対してこのようなサービスを提供することを検討している、という情報までいただけたので、それをどうやったら収益化できるのかということを考えていきます。サービスを提供するために必要なリソースはどうなのか、その中でパートナーに任せるべき部分はどこなのか。またかかってくるコストはどうなのか。そしてそのサービスをどうやって顧客に届け、どんな関係を築いていくのか。そのサービスを提供するための、企業としての主要な活動は何なのか。それによって得られる収益とかかるコストはどんなものがあるのか。

これらを可視化できる事で、全員での議論がすごく活発になります。また、「キャンバスにポスト・イットを貼る」という行為は、自分の持っている意見を誰のものでもない意見に変えていしまいます。これによって「発言力の強い人(経営者等)」の意見でもフラットに扱うことが出来るようになります。

こうして参加者全員の意見を吸い上げつつ、集約させていき、なんとか面白いビジネスモデルを作ることが出来ました。もちろんたかだか数時間で考えたものなので、実際にそれで事業になるかというと難しいところではありますが、確かにひとつの「ネタ」にはなるのではないでしょうか。

そして、この応用編ワークショップで僕が一番大切だと思っていたのは、その事業をグランフェアズさんが行う意味を見出すということです。それは、現在持っているビジネスモデルを新しいビジネスにどう利用するか、ということです。そこがなければ、本に出てくる「アンバンドルビジネスモデル」化したほうがいいと思っていました。

また、もう一つのチームでは新しいビジネスモデルではなく、既存のビジネスモデルをさらに強化する方針で議論を進めたようで、プレゼンしてもらった内容にも「あ、これなら可能性あるよね」というものが出来てきていました。

まとめ
今回の勉強会は、僕的には非常に得るものが多かったです。それはまずキャンバスの使い方をある程度習得できたこと。そして、事業のことを真剣に考えている仲間を確認できたこと。さらに、2日続けてブレストを含むワークショップを行ったことで、ブレストの技術が少しでも上がっていると実感できたこと。加えて、新事業を考えるときには、ゼロから始めるのか、今持っているリソースを活かすのかを検討する必要があるということです。

ビジネスモデル・キャンバスは「コレさえ使えばバッチリだね」というようなものではない(数字の要素が皆無)ですが、議論のベースにすることができる、本当に面白いものでした。今後も機会があればいろんなビジネスモデルを分析し、さらにそのビジネスモデルを発展させることを検討する、という練習をして、自分の中のビジネスモデル・パターンを増やしていきたいです。それを、自社(僕個人)のビジネスモデルに応用し、収益化できるようなビジネスマンになりたいと思います。

最後に、朝からお付き合い頂き、スライドまで準備して下さった浅野先生、ありがとうございました。このお礼はどう表して良いかわからないほど、感謝しています。本当にありがとうございました。

HCD-Netセミナーin名古屋2012 (第2回) |オブザベーション


5/26、今年のHCDセミナーの第二回目が開催されました。今回はオブザベーション。オブザベーションとは「観察」のことで「ユーザーをよく見ましょう」という多くの仕事の基本となる部分を学びます。行動観察という手法も少し前にTV等で取り上げられていましたが、とにかくお客さんをしっかり見ると沢山の情報を得られるといったものですね。

このオブザベーションに関するセミナーは昨年も受講しました。ただ、その時はHCDに関するセミナーへの参加が初めてだったこともあって、とにかく右も左もわからず、どこにゴールを設定していいかすらわからなかったのですが、今年は何をやるかわかっていた(忘れてた部分も多かったですが。。)ので、すごく余裕を持って望めました。

やはりこのセミナーは続けて何度か受講しないと意味が無いように思います。とくに1年目は存在を知るくらいが精一杯かと。その後、どうやって勉強するかがまた問題になってきますが、とにかく1度出たからといって理解できるような類のものではなく、少しずつ理解を深めてHCDプロセスを業務に「少しでも」取り入れるのを「普通」にすることが、地方にいて専門教育を受けていない僕にとっては、ひとつの到達点なのかもしれないと思っています。

業務に取り入れづらいものをどうしてお金を払ってまで受講しているのかというと、これ今年になってわかったのですが、いろんな本を読んだりするとHCDのセミナーで触れたことが結構出てくるんです。そこの理解力が飛躍的に向上しているのは感じます。
それと、普段複数人でブレストすることが少ない僕にとっては、その練習にもなっています。ブレストって意外と難しくて、慣れないと議論が活発になってこなかったりするんですが、このセミナーに出ている人にとっては「壁に向かう」「ポストイットを使う」ということが当たり前になっています。これは相当大きい。

これらを社内に持ち込むにはまたもう一つ超えなきゃいけない壁があるとは思いますが、それは少しずつ克服していこうと思います。

HCD概論(2)|小林先生

まずは、愛知工業大学の小林先生が「HCDってなによ」ってことについてお話下さいます。今回はユーザビリティ評価について。ユーザビリティ評価には色々あって、その中でも観察法についてお教え頂きました。
ユーザビリティラボについてやテストの種類について、高速道路SAのゴミ箱の例、観察から分かることがたくさんあるよ、といった内容をお話下さいました。

以前業務で、WEBサイト制作時に観察法っぽいことを取り入れたのですが、ユーザーは制作者の思ったとおりには全然使ってくれなくて、びっくりしたことがありました。やはり使うモノを作る場合、ユーザーテストはどこかで取り入れないといけないと思います。僕の場合はWEBやPCに強くない人を選んで、公開前のサイトを使ってもらう程度ですが、やらない時と比べると、それだけでも十分効果が得られます。時には家族にお願いしたりもします。これをやって画面設計を変えることもありますし、納期の問題からラベリングの変更でなんとかする、ということもありました。

オブザベーションワークショップ|浅野先生
そして、オブザベーションのワークショプに入っていきます。今回は「カップ焼きそば」を使います。昨年はゼリーを使いました
何をするかというと、カップ焼きそばを開けるところから食べ終わってゴミとして捨てるところまでを細かく観察して、問題点やそれに対する改善案を抽出していき、最終的にパッケージを改良するアイデアを作る、ということをします。

このカップ焼きそば、名古屋ではそんなに見かけないメーカーのもので、普段使い慣れている円形のものと比べると、問題点が満載。そんなことは普段は意識しないので、どこがどうとかはわからないのですが、オブザベーションの手法を使うことによってどこが問題なのかということがはっきりとあぶり出されてきます。
実際に焼きそばをたべるところを観察されるのは3人。これは業務で行うには少ない数字だと思いますが、あくまでワークショップなのでこれでも時間はギリギリです。
僕も食べた一人なのですが、大切なのは焼きそばを作って食べる間、思っていることをすべて口にすることです。これを「発話」というのですが、この「発話」を拾っていくのがものすごく大切です。発話の中にこそ改善のヒントが隠されています。加えて、今回はUXマップを作成しました。
時系列に並べた、焼きそばを食べる際の「作業ステップ」「発話」それらから推察される「パッケージの問題点」「UXマップの起伏」から改善点を絞り、そこに集中して改善案を考えます。改善するポイントを絞ることも大切で、これをやらないと日本人の大好きな「足し算」のデザインになってしまうとのこと。たしかにあれもこれも改善するよりは、本当に問題となるところにフォーカスして考えたほうが、よくなりますよね。
また、ユーザーは「楽に」できることを求めているわけではないということも教えて頂きました。要は何でも「楽に」「簡単に」できる事ばかりを考えてしまうと、良いUXは提供できない可能性があるということだと思います。

僕達のチームは、UXマップが3人とも落ち込んでいる「3分待つ」「食べている最中」に絞って改善案を検討して行きました。ここで気づいたのですが、「主題はパッケージの改善」なのに、麺が1分で出来ればいいとか、そういう方向に話がいってしまいがちということです。しかし、2つの課題に対してパッケージの改善で何ができるかを考えないといけないので、そちらにチームの思考が行ってしまいそうになった時に、軌道修正することを心がけていました。

「3分待つ」ことがなぜストレスなのかを観察の結果から推察すると、とにかく手持ち無沙汰になるんですね。今回は他の情報(テレビや本など暇つぶしの道具)に接することが出来ない状況なので特殊ですが「ある一定の状況下」というのも大切な条件ですので、今回はこれでよいのだと思います。

また、なぜ「食べている最中」にUXが落ち込むかというと、「このまま食べていくと「かやく」が残るね。。。。」という思考が働くことが、発話から分かります。麺とかやくを上手に混ぜながら食べられないのです。

この二点を改善するために考えたことは以下のとおりです。
・「3分待つ」:フタに面白いコンテンツを掲載する。特に3人とも携帯電話(スマホ)で時間を計っていたので、スマホを利用したコンテンツが良いのではないかと話していました。
・「食べている最中」:まず手で持ちやすいように、もっと細い形状にしようということと、容器内側の底面の形状を球面に近い形にしようというアイデアを出しました。要はかやくと麺を混ぜやすい形状にしようということです。

この2つのアイデア、スゴくありきたりだと思いますが、ワークショップではこれでいいと思います。良いアイデアを出すワークショップではなく、オブザベーションの手法を通じて、実はHCDのプロセスをざざっとひと通り経験することが目的のワークショップですし、浅野先生が仰っていたのですが、とにかく終わらせることが大切だということです。

このあと、3人へのインタビューから導き出した簡単なペルソナを造り、パッケージの改善案とその利用状況を示した4コマ漫画を作成して、プレゼンです。

昨年と比べて周囲が見えていたのと、チームのメンバーにも恵まれたこともあって、スゴく楽しんで出来ました。とにかくワークショップは楽しいです。楽しんだだけで終わらせてはいけないのですが、楽しくないと学ぶ気も失せてしまうので、よしとすることにします。

次回はストーリーテリングについてのワークショップです。ものすごく興味がある分野なので、非常に楽しみにしています。

2012年5月13日日曜日

HCD DiG #3|インタビュー&評価グリッド法


5/12(土)、HCD DiG三回目「インタビュー&評価グリッド法」に参加してきました。

実は前回も「インタビュー&評価グリッド法」をやりました。しかし振り返ってみるとどうも調子がよろしくない結果に。それを運営メンバーで共有して、再度やりましょうということになりました。(僕は今回の運営にはほとんど参加できませんでした。)

前回のHCD DiGに対する水野さんのブログ
HCD DiG#02を終えて。ペルソナ・シナリオ法&インタビュー&評価グリッド法の気づき

前回のHCD DiGに対する岩崎さんのブログ
ヒアリング力を身につける

結論から言うと、やはりわからないところを共有して再度やり直せたり、時間をかけられたりするのはこういう集まりでしか出来ないと思うので、とても有意義な時間でした。

セミナーでは再挑戦は次年度になってしまう上に開催される保証もないので、こういう勉強会で振り返るのってとても有効な気がします。浅野先生からは「ちゃんとした人に見てもらいなさい」等、色々アドバイスを頂いておりますので、今後はそちらも視野に入れないといけません。



相談タイム
まずは参加者が二人一組となって、「HCDの手法を業務に取り入れたか、取り入れた場合どのような状況でどのように取り入れたか」を話します。僕は色々な出来事が重なって15分ほど遅刻したので最後の発表を聞いただけですが、積極的に取り入れていたり、自分は必要性を感じていても社内に浸透していないために導入できていない等、それぞれの現状を聞くことが出来てよかったです。自分に置き換えてみると、意識はしているもののまだまだ導入できているとは言い難いです。



HCD-Netセミナーin名古屋2012(第1回)の報告
運営の山田さんから「HCD-Netセミナーin名古屋2012」に参加しての報告をして頂きました。僕もブログに書きましたが、同じような感想を持たれていたようです。しかし山田さんの凄いところは必ずドキュメント化する癖が付いていることですね。素晴らしいです。見習います。

僕のブログ
HCD-Net セミナーin名古屋 2012(第1回)

山田さんのブログ
HCD-Net セミナーin 名古屋 2012(第1回)に参加して



ワークショップ
今回のワークショップは「Web制作者ペルソナが利用するWebサービス」を開発するのための、ユーザーペルソナ作成にあたってのものです。
  1. インタビュー
  2. 評価グリッド法
  3. ペルソナ作成
以上の流れで進んで行きました。



インタビュー
前回の失敗を受けて、再挑戦です。

インタビューを始める前に、今回のインタビューで気をつけるべき点を梶田さんと水野さんから頂きました。
  • インタビューが何のためのものかをしっかり意識する
  • 「なぜ?なぜ?」をくりかえしていくこと
  • ラダーアップ・ダウンを繰り返すことを意識する
こういう事を意識した結果、前回よりインタビューで得られた結果が大きく向上したことが感じられました。しかしこのあとの「評価グリッド法」に入っていった時、「これって何でこう思ったんだろ?」ということが少なからず出てきました。僕らは「WEB制作者」という今回のユーザーペルソナそのものの属性(僕は半分外れてますが)なので、インタビュー時にはその文脈から話が大体理解できてしまい、聞き漏らすことが多くなってしまうのでしょう。これがまったく違うセグメントが対象だったとしたら、インタビュー中に疑問を持つと思うので、そういったことはもう少し減るのかもしれないと思いました。
何にせよ、「それはどうしてですか?どういうことですか?」と繰り返すことが大切なのは変わらないですね。



評価グリッド法
評価グリッド法を使ってペルソナを作っていきます。が、ここで問題が(その時はあれ?と思いながらも、進めていってしまいました)。振り返って後から考えると、ラダーリングをする際にペルソナ作成のためなのか、WEBサービス開発のためなのかがしっかり決められていなかったと感じています。
ペルソナ作成のためだけだったら、もっとWEB制作者としての本質的なところまで掘り下げていくべきだと思うのですが、WEBサービス開発というお題目達成のため、ペルソナ作成に対する材料がしっかり抽出できていないように感じました。ここは運営側でも話をしてみたいと思います。

そんなこんなですが、みんなでなんとかラダーリングをしていき、まとめることが出来ました。
Bチームの評価グリッド法結果


僕的に今回の一番の収穫は、ラダーアップとラダーダウンを行き来する感覚が掴めた気がすることです。最初にセミナーで聞いたとき、言われたことはなんとなく理解できましたが実際やるとなると「?」な感じでした。それが今回「ああ、こういう感じね」というところまで持っていけたことが大きかったです。具体的な事象から本質的要求まで上がっていった後に「それってこっちにもつながってくるよね?」といった感じです。当日話してみんなに「?」な顔をされたのですが、斜めに掘り下げていって、斜めに浮上してくる感じです(やっぱわかんない?)。

勉強会が終わったあとは、今年で最後の名古屋名物ビアガーデン「マイアミ」に行き、参加しなかったメンバーとも合流してワイワイ楽しみました。そんなこともやってるので、興味がある方はご参加下さいませ。



今後について
今後は、今回できたペルソナをもとに、WEBサービスを開発していく工程に入ります。といっても実際に開発するとかではなく、あくまでHCDの手法を学ぶためにそれを題材にしているだけですが。(ほんとにすごいアイデアが出たら作っちゃってもいいかも?)

何にせよ、考え方や手法が身につくまで試行錯誤しながら触れていたいと思います。

当日のツイートまとめ

HCD DiG#3 インタビュー&評価グリッド法まとめ


水野さんのブログ

山田さんのブログ

2012年5月10日木曜日

WCAN2012 Spring


参加した直後に途中まで書いて、怒涛の業務の波に飲み込まれて放置してた記事をエントリーします。
意外とちゃんとしたこと書いてましたw

以下当時の下書きをそのままに。
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先日、WCAN2012 Springに参加してきました。



セッション#1
イーブックデザイナーの仕事 HTML5 ブックデザインの可能性|境祐司さん

ひとつめのセッションでは境祐司さんが電子書籍の最新事情をご紹介して下さいました。

参考になったことが幾つかありましたが、そのなかでもWEBは広告ビジネスモデル、電子書籍はパッケージ販売モデルであるということを仰っていて、今後の自分の考えるビジネスモデルについて改めて考えさせられました。

いま、自分の所属している会社は、「紙やOOHを中心とした広告制作プロダクション」という表現が一番しっくりくると思いますが、基本的には受託ビジネスですので、常に価格と品質の両立を求められます。特にここ数年は景気低迷やお客様の業界の状況を受けて価格面での貢献を強く求められ、競合との値下げ合戦の様相を呈しています。
いまのところ、協力会社さんのおかげもあって何とか戦えていますが、どうしても薄利多売からくる社員へかかる負担増→クオリティの低下→さらに価格面で勝負という負のスパイラルに陥っています。

そこで、やはり目指すべき形のひとつは受託とパッケージ販売の両立。なんだかんだ言っても主力は現状の商売であり、そこで24名の社員を雇用できているわけですので、あまりドラスティックに舵を切りすぎない程度に、新事業部の立ち上げも含めて今後1年ほどで形にしていきたいと思います。

その他にはイーブックデザイナーは既にHTML5とCSS3を駆使してデザインを作り出しているというところ。
WEBに関わる人は「ブラウザ対応があるから」という理由もあって、日常業務でHTML5とCSS3のみでサイトを構築することってそれほど多くないのではないでしょうか。
しかしイーブックデザインの世界ではブラウザ問題にとらわれること無く新技術をどんどん投入してノウハウを蓄積している。これは後輩のエンジニアとも話していたのですが、アプリ製作者もおそらくWEB製作者より技術に対する考え方(というと語弊があるかもしれませんが)が進んでいる部分が多いように思います。受託モデル故の顧客対応に費やしている時間に、彼らは技術と商品(アプリ等)の企画を突き詰めているような気がしました。

イーブックデザインの世界はまだまだ規模は小さいということなので、いますぐにビジネスとして成立するかは疑問ですが、WEBブックやPDF配信していたカタログ等は今後イーブックに置き換わっていく可能性はあると考えています。

2012年5月3日木曜日

HCD-Net セミナーin名古屋 2012(第1回)

今年もHCDのセミナーに出席することにしました。

昨年のセミナーは全5回のうち4回出席。正直なところ、実務の中ですぐさま役に立ったことって少なかったです。先生、すみません。

僕の様な半分畑違いの人間としては、まずは知識の海に溺れることから入って、もがいてもがいて浮上するというパターンが一番しっくりくるので、とにかくやってみましょうという感じで昨年、始めました。で、最近いろんなことを見聞きする上でHCDのセミナーで触れたものが頻出するようになってきて、点と点が線になりつつあるなーと思っています。

同時に他のこと、例えばディレクションだったり、デザインだったり、マーケティングだったり、IA的なことを割りと幅広く少しづつ勉強していく上で、HCDで触れたことっていうのが結構役立つんですよね。というのも、まず出てくる単語が理解できる。これが一番大きいです。言語の習得に似てるのかもしれないですね(日本語以外一切理解できませんが)。むかしDTMを始めた時、僕はPCほとんど触ったことがなくて、今と同じようにまずは知識を詰め込んだんです。そうするとふとした時に他の書籍だったりの理解が飛躍的に向上しているのに気がつくんですよね。

それと、今年は昨年までのHCDプロセスの学習とは一味違うようで、非常に楽しみです。去年のベースがあると理解が深まる気がするので、昨年からの出席者の人に相談してみると良いかもしれませんね。

こんな仲間もいますし。
https://www.facebook.com/hcddig

HCD概論 愛知工業大学 小林先生

昨年までの浅野先生のみの講義だけではなく、今回からHCD-Net主催の勉強会ということで小林先生の講義から始まりました。

まずはHCDって何なの?というところのお話をして頂きました。



人間の基本的認知段階
人間にはどうしても「こう感じてしまう」というものがあり、それに従って設計をすることで人間がより使いやすいものが出来ますよ、と理解しています。
・アナログ時計はなぜ12時間表記なのか
・文字詰めはなぜ一定間隔ではないのか
・展望と退避
・サバンナの優位性
・脅威の検出
・上方照明の先入観
などなど、事例を出していただきながら学びました。



原理・原則段階
このあたりから若干アカデミックになっていきます^^;
方向通則などはなんとなく知っていたのですが、その他書籍を挙げていただきながらの講義は、「当然知ってると思いますが〜」的な感じで進んでいき(それはわざとかも知れない)、ちょっと僕の知識レベルとは乖離がありました。しかしこの日はプロダクトデザインの方も多く出席されており、その方々は当然のものとして理解されてるかもしれませんね。今後の知識を深めていくべき分野かもしれません。



知識・調査段階
まずはユーザーを知らなければならない、という当然のことを教えて下さいます。その当然のことってなかなかできなくて、それで世の中には使いにくものが溢れていると思います。結局製作者側の妄想で作ってしまう。ここを少しだけ、できる事からでも始められれば、もっと使いやすいものに囲まれて暮らせるようになるのでしょう。ただ、僕の勤めているような小さか会社ではなかなか出来ない。できないというより、評価しづらい。という感じでどうしても省かれてしまい、ディレクターやデザイナーの経験則でものづくりをしてしまうのだと思います。



提供・仕様段階
ここではユーザー評価のお話をして下さいました。実際の使用中の評価から、HCDのプロセスに従って改良をしていく、というものです。以前僕が実務で関わった案件でも、公開前にすごく簡単なユーザー評価を実施したら、面白いくらいにタスクを達成できない、ということがありました。このときはラベリングの改善でなんとかしのいだのですが、もう少し早い段階でテストできれば良かったなと感じています。

小林先生のお話は、おそらく今年はじめてHCDに触れる人からすると相当難しかったのではないでしょうか。次回からの展開に注目したいですが、この第一回の講義でリタイアする人が居ないのを願います。



ワークショップ|スパゲッティ・キャンチレバー

続いて、浅野先生の進行でワークショップに入ります。これはスタンフォード大のブートキャンプで行われるものだそうです。20本のスパゲッティ(乾麺)をセロテープとタコ糸2mを駆使して、どれだけ机から水平方向に伸ばしていけるかをチームに分かれて競うものです。

浅野先生のブログからの引用ですが、このWSの目的は
・口頭でのコミュニケーション
・体験を通じたコミュニケーション
・最初のコンセプトを捨てる勇気
だそうです。僕のチームはあれこれ考える前に「とりあえずやってみよう」という感じで始めて、1回目、2回目ともにまずまずの結果が出ました。

ここで学んだことは、とにかくやってみて、作りながら結果を評価し、改善していく。そして二回目のチャンスもあるので、他チームの一回目の結果を参考にしていかにさらに良い結果を出すか、ということです。いわゆるウォーターフォールとアジャイルの違いを実体験で学ばせていただいた感じです。

今回は今年のセミナーの導入ということなので、ウォームアップ的な要素も強かったかもしれませんが、細かいサイクルで仮説検証を繰り返すことの重要さを再認識しました。



HCDにおける視覚化手法について 浅野先生

最後に浅野先生の講義がありました。僕は昨年のHCDセミナーに4回出ている等、何度も先生のお話を聞いているので少しずつ理解が進んできた感じがします。先生がいつも仰るのは、とにかくコトのためのモノという考え方ですよ、ということだと思います。良いUX(ユーザー体験)を提供するために様々なモノ(プロダクト、ソフトウェア、WEBサイト等)が存在するのであって、ユーザーはモノが使いたいのではないということです。

たとえ「iPhoneが欲しい!」という感情があったとしても、それは「iPhoneを使うことによって自分の生活を豊かにしたい!」ということでしか無いということです。つまり、「自分の生活が豊かに」なるのであれば、「iPhone」の部分はなんでもいいわけです。

これは、わかりきったことのようですが、意識していないとモノを作って終わりになってしまうので、今後も気をつけていきたいです。

とにかく「ユーザーはどうなりたいのか」ということに照準を合わせ、その要求に自分のできることで答えてあげられることは無いか?と考え、企画し、作ることが、今後の僕の仕事になると思います。

あと講義では、やはりモバイルは世界を変える可能性を持っているということ、スケッチすることの重要性、一度実際にやってみるということが大切だということを学びました。

それとアクティングアウトの重要性も。このあたりはなかなか腰が重くて出来ないことが多いですが、なんとか業務に取り入れていきたいと思っています。

懇親会はいつもの天狗、その後味仙という鉄板の流れ。まだまだ飲み足りなかった僕らは栄のがブリチキンで飲み直しました。。。

懇親会では浅野先生に「ビジネスモデル・ジェネレーションのWSできませんか?」とお願いしたところ、「じゃあやろうか」と言っていただき、開催の運びとなりました。ごく少数定員での開催となりそうですが、非常に楽しみです。ご参加いただける方は一度僕の方までご連絡下さい。

2012年4月9日月曜日

ビジネスモデル・ジェネレーション



複数の人からオススメされた(SNSでのシェア等も含めて)表題の本を読みました。率直な感想は、とても面白くて実践的、さらにデザインがいい、近いうちにやってみよう!というものでした。




ビジネスモデルキャンバスというものを使用して、ビジネスモデルを分析・検討・創造しようといった内容です。自分自身、最近会社の事業について考えている時間が多く、また手がかりを探している状態だったのでまさにタイムリーでした。



詳細な内容については割愛しますが、僕にとっては、今後自分の行なっていく「仕事」というものをどうプランして実行していくか考える際に用いる、良いハンドブックといった感じです。考え方と手法を交互に示してくれているページが多く、まずは書かれているとおりに実践して見るだけで、見えるものが多いだろうと思います。

読んでいる最中に「ああしたらどうかな、こうしたらどうかな」といった感じでアイデアが飛んできて、そっちに思考が行ってしまって、我に返ってメモ、また本に戻るということを何度もしながら読んだので、結構時間がかかりました。しかし本のボリュームとしては多くないですし、とにかくこの手の本としてはデザインが良いので、読みやすいと思います。



読んでいる最中から納得することが多かったこの本ですが、とにかくビジュアライズすることの重要性を説いています。こういう思考は、自分の会社に置き換えてみると、できている人って本当に少ないです。自分自身はビジュアルでの情報共有がいかに簡単で重要かということを色々なセミナーや勉強会でひしひしと感じていますが、社内に閉じている人々からすると馴染みがないものだろうし、成功体験が無いので僕がいくら説いたところで身につくなんてのは望むべくもないです。席を立ってホワイトボードを使うということが全くできない。しかし、これはできない人が悪いとかそういうことじゃなくて、そういうことに触れる機会がなく、したがってそれをすることによるメリットみたいなものがわからないだけなんですが。



まずは、この本に書かれているプロセスをひと通り実践してみたいと思いますが、とりあえず一人でやることになりそうです。この記事をPostした後、会社のメーリングリストでこの本の紹介をしようと思います。何人か読んでくれると良いのですが。



あと、HCDセミナーを通じて得た知識に関する内容が頻出するなど、意図しないもの同士が思わぬ所で結びつく感じもしました。






2012年2月14日火曜日

HCD DiG #01 ユーザー評価


去る1/28、HCD DiGの活動が開始されました。HCD DiGとは、名古屋で開催されているセミナー「HCDの理解in名古屋」の参加者が、セミナーで学んだことを自分の中に定着させること、そのための復習が主な趣旨となっています。

僕の参加理由は、HCDの知識をせっかく学んだのになかなか業務に活かす機会がなく、このままでは学んだことを忘れてしまうのではないかと危機感を持っていたことでした。とにかく触れていることが一番大切なのに、なかなか触れる機会がない。

そんな時、僕のブログを読んでくださった水野さんにHCD DiGの前身となる集まりに誘っていただいたことがきっかけでした。


HCD DiGの参加者は、いまのところ浅野先生が教えてくださる「HCDの理解in名古屋」への参加経験が必須の参加条件となっており、全員が経験者ということで概ねスムーズに進められたと思います。
本家(HCDの理解in名古屋)では、ほぼ全員が初めて経験する上に時間が限られていることもあってとにかく時間に追われるのですが、こうやってゆっくり振り返るとさらに知識が定着しますね。

HCDについて
人間中心設計とは

HCDとは:使う人の観点でものを作るためのしくみ



ユーザー評価


当日は千種駅近くのニューキャストさんが無償で提供してくださっているセミナールームをお借りして開催しました。

当日のスケジュール
13:00 集合
13:05 あいさつ、WSの概要説明
13:15 タスクの設定
14:00 ユーザビリティテスト(エキスパート1名・ノービス2名)
15:00 書き起こし(4名)・NE比のグラフ作成(2名)
16:00 改善点の洗い出し・発表資料の作成
17:00 発表・ディスカッション
17:30 内省タイム・次回のアナウンス
18:00 解散

今回も改めて感じたのですが、ユーザー評価で一番のキモはやはりタスク設定にありました。どれだけユーザーの気持ちを想像してタスクを設定するかで、ユーザー評価の成否が決まってしまうと思われます。
そして、ユーザー評価にはペルソナの作成が必須ですが、ペルソナの作成にはビジネスニーズが必要など、HCDの他のサイクルも絡んでくるのでそのあたりも含めて今は経験することが一番大切かもしれないと思っています。

また、ユーザー評価という工程をWEBサイト制作のどの段階に取り入れるかで、その後の進行が全く変わってくるのではないでしょうか。最近自分が携わっている案件は全面リニューアル案件や新規構築案件ばかりで、改善案件がありません。その場合、コスト面も含めなかなかユーザー評価を組み込むことは難しいのかな、という感想を持っています。改善案件であれば、現状のサイトを評価することがスタート地点になり得ると思います。

実際の業務に取り入れると製作中の案件でも改善点がボロボロ出てきて「時間的に、これどこまで追い込む?」的な状況になることもあり得ると思います。もちろん、そういう状況を回避するためのものでもあると思うので、ワイヤーを制作している段階でモックをサクッと作ってテストするというのが最適かもしれません。

そんなところ諸々を含めて再確認できたのが、今回のHCD DiG#01の一番の収穫だったように思います。

次回は3/25(日)に行う予定です。テーマは「ペルソナ作成」。今度もゆっくりしたペースで振り返りたいと思います。4/28より今年も名古屋で本家がスタートするようですし、予習復習も含めて開催していきたいですね。