2012年5月28日月曜日

HCD-Netセミナーin名古屋2012 (第2回) |オブザベーション


5/26、今年のHCDセミナーの第二回目が開催されました。今回はオブザベーション。オブザベーションとは「観察」のことで「ユーザーをよく見ましょう」という多くの仕事の基本となる部分を学びます。行動観察という手法も少し前にTV等で取り上げられていましたが、とにかくお客さんをしっかり見ると沢山の情報を得られるといったものですね。

このオブザベーションに関するセミナーは昨年も受講しました。ただ、その時はHCDに関するセミナーへの参加が初めてだったこともあって、とにかく右も左もわからず、どこにゴールを設定していいかすらわからなかったのですが、今年は何をやるかわかっていた(忘れてた部分も多かったですが。。)ので、すごく余裕を持って望めました。

やはりこのセミナーは続けて何度か受講しないと意味が無いように思います。とくに1年目は存在を知るくらいが精一杯かと。その後、どうやって勉強するかがまた問題になってきますが、とにかく1度出たからといって理解できるような類のものではなく、少しずつ理解を深めてHCDプロセスを業務に「少しでも」取り入れるのを「普通」にすることが、地方にいて専門教育を受けていない僕にとっては、ひとつの到達点なのかもしれないと思っています。

業務に取り入れづらいものをどうしてお金を払ってまで受講しているのかというと、これ今年になってわかったのですが、いろんな本を読んだりするとHCDのセミナーで触れたことが結構出てくるんです。そこの理解力が飛躍的に向上しているのは感じます。
それと、普段複数人でブレストすることが少ない僕にとっては、その練習にもなっています。ブレストって意外と難しくて、慣れないと議論が活発になってこなかったりするんですが、このセミナーに出ている人にとっては「壁に向かう」「ポストイットを使う」ということが当たり前になっています。これは相当大きい。

これらを社内に持ち込むにはまたもう一つ超えなきゃいけない壁があるとは思いますが、それは少しずつ克服していこうと思います。

HCD概論(2)|小林先生

まずは、愛知工業大学の小林先生が「HCDってなによ」ってことについてお話下さいます。今回はユーザビリティ評価について。ユーザビリティ評価には色々あって、その中でも観察法についてお教え頂きました。
ユーザビリティラボについてやテストの種類について、高速道路SAのゴミ箱の例、観察から分かることがたくさんあるよ、といった内容をお話下さいました。

以前業務で、WEBサイト制作時に観察法っぽいことを取り入れたのですが、ユーザーは制作者の思ったとおりには全然使ってくれなくて、びっくりしたことがありました。やはり使うモノを作る場合、ユーザーテストはどこかで取り入れないといけないと思います。僕の場合はWEBやPCに強くない人を選んで、公開前のサイトを使ってもらう程度ですが、やらない時と比べると、それだけでも十分効果が得られます。時には家族にお願いしたりもします。これをやって画面設計を変えることもありますし、納期の問題からラベリングの変更でなんとかする、ということもありました。

オブザベーションワークショップ|浅野先生
そして、オブザベーションのワークショプに入っていきます。今回は「カップ焼きそば」を使います。昨年はゼリーを使いました
何をするかというと、カップ焼きそばを開けるところから食べ終わってゴミとして捨てるところまでを細かく観察して、問題点やそれに対する改善案を抽出していき、最終的にパッケージを改良するアイデアを作る、ということをします。

このカップ焼きそば、名古屋ではそんなに見かけないメーカーのもので、普段使い慣れている円形のものと比べると、問題点が満載。そんなことは普段は意識しないので、どこがどうとかはわからないのですが、オブザベーションの手法を使うことによってどこが問題なのかということがはっきりとあぶり出されてきます。
実際に焼きそばをたべるところを観察されるのは3人。これは業務で行うには少ない数字だと思いますが、あくまでワークショップなのでこれでも時間はギリギリです。
僕も食べた一人なのですが、大切なのは焼きそばを作って食べる間、思っていることをすべて口にすることです。これを「発話」というのですが、この「発話」を拾っていくのがものすごく大切です。発話の中にこそ改善のヒントが隠されています。加えて、今回はUXマップを作成しました。
時系列に並べた、焼きそばを食べる際の「作業ステップ」「発話」それらから推察される「パッケージの問題点」「UXマップの起伏」から改善点を絞り、そこに集中して改善案を考えます。改善するポイントを絞ることも大切で、これをやらないと日本人の大好きな「足し算」のデザインになってしまうとのこと。たしかにあれもこれも改善するよりは、本当に問題となるところにフォーカスして考えたほうが、よくなりますよね。
また、ユーザーは「楽に」できることを求めているわけではないということも教えて頂きました。要は何でも「楽に」「簡単に」できる事ばかりを考えてしまうと、良いUXは提供できない可能性があるということだと思います。

僕達のチームは、UXマップが3人とも落ち込んでいる「3分待つ」「食べている最中」に絞って改善案を検討して行きました。ここで気づいたのですが、「主題はパッケージの改善」なのに、麺が1分で出来ればいいとか、そういう方向に話がいってしまいがちということです。しかし、2つの課題に対してパッケージの改善で何ができるかを考えないといけないので、そちらにチームの思考が行ってしまいそうになった時に、軌道修正することを心がけていました。

「3分待つ」ことがなぜストレスなのかを観察の結果から推察すると、とにかく手持ち無沙汰になるんですね。今回は他の情報(テレビや本など暇つぶしの道具)に接することが出来ない状況なので特殊ですが「ある一定の状況下」というのも大切な条件ですので、今回はこれでよいのだと思います。

また、なぜ「食べている最中」にUXが落ち込むかというと、「このまま食べていくと「かやく」が残るね。。。。」という思考が働くことが、発話から分かります。麺とかやくを上手に混ぜながら食べられないのです。

この二点を改善するために考えたことは以下のとおりです。
・「3分待つ」:フタに面白いコンテンツを掲載する。特に3人とも携帯電話(スマホ)で時間を計っていたので、スマホを利用したコンテンツが良いのではないかと話していました。
・「食べている最中」:まず手で持ちやすいように、もっと細い形状にしようということと、容器内側の底面の形状を球面に近い形にしようというアイデアを出しました。要はかやくと麺を混ぜやすい形状にしようということです。

この2つのアイデア、スゴくありきたりだと思いますが、ワークショップではこれでいいと思います。良いアイデアを出すワークショップではなく、オブザベーションの手法を通じて、実はHCDのプロセスをざざっとひと通り経験することが目的のワークショップですし、浅野先生が仰っていたのですが、とにかく終わらせることが大切だということです。

このあと、3人へのインタビューから導き出した簡単なペルソナを造り、パッケージの改善案とその利用状況を示した4コマ漫画を作成して、プレゼンです。

昨年と比べて周囲が見えていたのと、チームのメンバーにも恵まれたこともあって、スゴく楽しんで出来ました。とにかくワークショップは楽しいです。楽しんだだけで終わらせてはいけないのですが、楽しくないと学ぶ気も失せてしまうので、よしとすることにします。

次回はストーリーテリングについてのワークショップです。ものすごく興味がある分野なので、非常に楽しみにしています。

2012年5月13日日曜日

HCD DiG #3|インタビュー&評価グリッド法


5/12(土)、HCD DiG三回目「インタビュー&評価グリッド法」に参加してきました。

実は前回も「インタビュー&評価グリッド法」をやりました。しかし振り返ってみるとどうも調子がよろしくない結果に。それを運営メンバーで共有して、再度やりましょうということになりました。(僕は今回の運営にはほとんど参加できませんでした。)

前回のHCD DiGに対する水野さんのブログ
HCD DiG#02を終えて。ペルソナ・シナリオ法&インタビュー&評価グリッド法の気づき

前回のHCD DiGに対する岩崎さんのブログ
ヒアリング力を身につける

結論から言うと、やはりわからないところを共有して再度やり直せたり、時間をかけられたりするのはこういう集まりでしか出来ないと思うので、とても有意義な時間でした。

セミナーでは再挑戦は次年度になってしまう上に開催される保証もないので、こういう勉強会で振り返るのってとても有効な気がします。浅野先生からは「ちゃんとした人に見てもらいなさい」等、色々アドバイスを頂いておりますので、今後はそちらも視野に入れないといけません。



相談タイム
まずは参加者が二人一組となって、「HCDの手法を業務に取り入れたか、取り入れた場合どのような状況でどのように取り入れたか」を話します。僕は色々な出来事が重なって15分ほど遅刻したので最後の発表を聞いただけですが、積極的に取り入れていたり、自分は必要性を感じていても社内に浸透していないために導入できていない等、それぞれの現状を聞くことが出来てよかったです。自分に置き換えてみると、意識はしているもののまだまだ導入できているとは言い難いです。



HCD-Netセミナーin名古屋2012(第1回)の報告
運営の山田さんから「HCD-Netセミナーin名古屋2012」に参加しての報告をして頂きました。僕もブログに書きましたが、同じような感想を持たれていたようです。しかし山田さんの凄いところは必ずドキュメント化する癖が付いていることですね。素晴らしいです。見習います。

僕のブログ
HCD-Net セミナーin名古屋 2012(第1回)

山田さんのブログ
HCD-Net セミナーin 名古屋 2012(第1回)に参加して



ワークショップ
今回のワークショップは「Web制作者ペルソナが利用するWebサービス」を開発するのための、ユーザーペルソナ作成にあたってのものです。
  1. インタビュー
  2. 評価グリッド法
  3. ペルソナ作成
以上の流れで進んで行きました。



インタビュー
前回の失敗を受けて、再挑戦です。

インタビューを始める前に、今回のインタビューで気をつけるべき点を梶田さんと水野さんから頂きました。
  • インタビューが何のためのものかをしっかり意識する
  • 「なぜ?なぜ?」をくりかえしていくこと
  • ラダーアップ・ダウンを繰り返すことを意識する
こういう事を意識した結果、前回よりインタビューで得られた結果が大きく向上したことが感じられました。しかしこのあとの「評価グリッド法」に入っていった時、「これって何でこう思ったんだろ?」ということが少なからず出てきました。僕らは「WEB制作者」という今回のユーザーペルソナそのものの属性(僕は半分外れてますが)なので、インタビュー時にはその文脈から話が大体理解できてしまい、聞き漏らすことが多くなってしまうのでしょう。これがまったく違うセグメントが対象だったとしたら、インタビュー中に疑問を持つと思うので、そういったことはもう少し減るのかもしれないと思いました。
何にせよ、「それはどうしてですか?どういうことですか?」と繰り返すことが大切なのは変わらないですね。



評価グリッド法
評価グリッド法を使ってペルソナを作っていきます。が、ここで問題が(その時はあれ?と思いながらも、進めていってしまいました)。振り返って後から考えると、ラダーリングをする際にペルソナ作成のためなのか、WEBサービス開発のためなのかがしっかり決められていなかったと感じています。
ペルソナ作成のためだけだったら、もっとWEB制作者としての本質的なところまで掘り下げていくべきだと思うのですが、WEBサービス開発というお題目達成のため、ペルソナ作成に対する材料がしっかり抽出できていないように感じました。ここは運営側でも話をしてみたいと思います。

そんなこんなですが、みんなでなんとかラダーリングをしていき、まとめることが出来ました。
Bチームの評価グリッド法結果


僕的に今回の一番の収穫は、ラダーアップとラダーダウンを行き来する感覚が掴めた気がすることです。最初にセミナーで聞いたとき、言われたことはなんとなく理解できましたが実際やるとなると「?」な感じでした。それが今回「ああ、こういう感じね」というところまで持っていけたことが大きかったです。具体的な事象から本質的要求まで上がっていった後に「それってこっちにもつながってくるよね?」といった感じです。当日話してみんなに「?」な顔をされたのですが、斜めに掘り下げていって、斜めに浮上してくる感じです(やっぱわかんない?)。

勉強会が終わったあとは、今年で最後の名古屋名物ビアガーデン「マイアミ」に行き、参加しなかったメンバーとも合流してワイワイ楽しみました。そんなこともやってるので、興味がある方はご参加下さいませ。



今後について
今後は、今回できたペルソナをもとに、WEBサービスを開発していく工程に入ります。といっても実際に開発するとかではなく、あくまでHCDの手法を学ぶためにそれを題材にしているだけですが。(ほんとにすごいアイデアが出たら作っちゃってもいいかも?)

何にせよ、考え方や手法が身につくまで試行錯誤しながら触れていたいと思います。

当日のツイートまとめ

HCD DiG#3 インタビュー&評価グリッド法まとめ


水野さんのブログ

山田さんのブログ

2012年5月10日木曜日

WCAN2012 Spring


参加した直後に途中まで書いて、怒涛の業務の波に飲み込まれて放置してた記事をエントリーします。
意外とちゃんとしたこと書いてましたw

以下当時の下書きをそのままに。
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先日、WCAN2012 Springに参加してきました。



セッション#1
イーブックデザイナーの仕事 HTML5 ブックデザインの可能性|境祐司さん

ひとつめのセッションでは境祐司さんが電子書籍の最新事情をご紹介して下さいました。

参考になったことが幾つかありましたが、そのなかでもWEBは広告ビジネスモデル、電子書籍はパッケージ販売モデルであるということを仰っていて、今後の自分の考えるビジネスモデルについて改めて考えさせられました。

いま、自分の所属している会社は、「紙やOOHを中心とした広告制作プロダクション」という表現が一番しっくりくると思いますが、基本的には受託ビジネスですので、常に価格と品質の両立を求められます。特にここ数年は景気低迷やお客様の業界の状況を受けて価格面での貢献を強く求められ、競合との値下げ合戦の様相を呈しています。
いまのところ、協力会社さんのおかげもあって何とか戦えていますが、どうしても薄利多売からくる社員へかかる負担増→クオリティの低下→さらに価格面で勝負という負のスパイラルに陥っています。

そこで、やはり目指すべき形のひとつは受託とパッケージ販売の両立。なんだかんだ言っても主力は現状の商売であり、そこで24名の社員を雇用できているわけですので、あまりドラスティックに舵を切りすぎない程度に、新事業部の立ち上げも含めて今後1年ほどで形にしていきたいと思います。

その他にはイーブックデザイナーは既にHTML5とCSS3を駆使してデザインを作り出しているというところ。
WEBに関わる人は「ブラウザ対応があるから」という理由もあって、日常業務でHTML5とCSS3のみでサイトを構築することってそれほど多くないのではないでしょうか。
しかしイーブックデザインの世界ではブラウザ問題にとらわれること無く新技術をどんどん投入してノウハウを蓄積している。これは後輩のエンジニアとも話していたのですが、アプリ製作者もおそらくWEB製作者より技術に対する考え方(というと語弊があるかもしれませんが)が進んでいる部分が多いように思います。受託モデル故の顧客対応に費やしている時間に、彼らは技術と商品(アプリ等)の企画を突き詰めているような気がしました。

イーブックデザインの世界はまだまだ規模は小さいということなので、いますぐにビジネスとして成立するかは疑問ですが、WEBブックやPDF配信していたカタログ等は今後イーブックに置き換わっていく可能性はあると考えています。

2012年5月3日木曜日

HCD-Net セミナーin名古屋 2012(第1回)

今年もHCDのセミナーに出席することにしました。

昨年のセミナーは全5回のうち4回出席。正直なところ、実務の中ですぐさま役に立ったことって少なかったです。先生、すみません。

僕の様な半分畑違いの人間としては、まずは知識の海に溺れることから入って、もがいてもがいて浮上するというパターンが一番しっくりくるので、とにかくやってみましょうという感じで昨年、始めました。で、最近いろんなことを見聞きする上でHCDのセミナーで触れたものが頻出するようになってきて、点と点が線になりつつあるなーと思っています。

同時に他のこと、例えばディレクションだったり、デザインだったり、マーケティングだったり、IA的なことを割りと幅広く少しづつ勉強していく上で、HCDで触れたことっていうのが結構役立つんですよね。というのも、まず出てくる単語が理解できる。これが一番大きいです。言語の習得に似てるのかもしれないですね(日本語以外一切理解できませんが)。むかしDTMを始めた時、僕はPCほとんど触ったことがなくて、今と同じようにまずは知識を詰め込んだんです。そうするとふとした時に他の書籍だったりの理解が飛躍的に向上しているのに気がつくんですよね。

それと、今年は昨年までのHCDプロセスの学習とは一味違うようで、非常に楽しみです。去年のベースがあると理解が深まる気がするので、昨年からの出席者の人に相談してみると良いかもしれませんね。

こんな仲間もいますし。
https://www.facebook.com/hcddig

HCD概論 愛知工業大学 小林先生

昨年までの浅野先生のみの講義だけではなく、今回からHCD-Net主催の勉強会ということで小林先生の講義から始まりました。

まずはHCDって何なの?というところのお話をして頂きました。



人間の基本的認知段階
人間にはどうしても「こう感じてしまう」というものがあり、それに従って設計をすることで人間がより使いやすいものが出来ますよ、と理解しています。
・アナログ時計はなぜ12時間表記なのか
・文字詰めはなぜ一定間隔ではないのか
・展望と退避
・サバンナの優位性
・脅威の検出
・上方照明の先入観
などなど、事例を出していただきながら学びました。



原理・原則段階
このあたりから若干アカデミックになっていきます^^;
方向通則などはなんとなく知っていたのですが、その他書籍を挙げていただきながらの講義は、「当然知ってると思いますが〜」的な感じで進んでいき(それはわざとかも知れない)、ちょっと僕の知識レベルとは乖離がありました。しかしこの日はプロダクトデザインの方も多く出席されており、その方々は当然のものとして理解されてるかもしれませんね。今後の知識を深めていくべき分野かもしれません。



知識・調査段階
まずはユーザーを知らなければならない、という当然のことを教えて下さいます。その当然のことってなかなかできなくて、それで世の中には使いにくものが溢れていると思います。結局製作者側の妄想で作ってしまう。ここを少しだけ、できる事からでも始められれば、もっと使いやすいものに囲まれて暮らせるようになるのでしょう。ただ、僕の勤めているような小さか会社ではなかなか出来ない。できないというより、評価しづらい。という感じでどうしても省かれてしまい、ディレクターやデザイナーの経験則でものづくりをしてしまうのだと思います。



提供・仕様段階
ここではユーザー評価のお話をして下さいました。実際の使用中の評価から、HCDのプロセスに従って改良をしていく、というものです。以前僕が実務で関わった案件でも、公開前にすごく簡単なユーザー評価を実施したら、面白いくらいにタスクを達成できない、ということがありました。このときはラベリングの改善でなんとかしのいだのですが、もう少し早い段階でテストできれば良かったなと感じています。

小林先生のお話は、おそらく今年はじめてHCDに触れる人からすると相当難しかったのではないでしょうか。次回からの展開に注目したいですが、この第一回の講義でリタイアする人が居ないのを願います。



ワークショップ|スパゲッティ・キャンチレバー

続いて、浅野先生の進行でワークショップに入ります。これはスタンフォード大のブートキャンプで行われるものだそうです。20本のスパゲッティ(乾麺)をセロテープとタコ糸2mを駆使して、どれだけ机から水平方向に伸ばしていけるかをチームに分かれて競うものです。

浅野先生のブログからの引用ですが、このWSの目的は
・口頭でのコミュニケーション
・体験を通じたコミュニケーション
・最初のコンセプトを捨てる勇気
だそうです。僕のチームはあれこれ考える前に「とりあえずやってみよう」という感じで始めて、1回目、2回目ともにまずまずの結果が出ました。

ここで学んだことは、とにかくやってみて、作りながら結果を評価し、改善していく。そして二回目のチャンスもあるので、他チームの一回目の結果を参考にしていかにさらに良い結果を出すか、ということです。いわゆるウォーターフォールとアジャイルの違いを実体験で学ばせていただいた感じです。

今回は今年のセミナーの導入ということなので、ウォームアップ的な要素も強かったかもしれませんが、細かいサイクルで仮説検証を繰り返すことの重要さを再認識しました。



HCDにおける視覚化手法について 浅野先生

最後に浅野先生の講義がありました。僕は昨年のHCDセミナーに4回出ている等、何度も先生のお話を聞いているので少しずつ理解が進んできた感じがします。先生がいつも仰るのは、とにかくコトのためのモノという考え方ですよ、ということだと思います。良いUX(ユーザー体験)を提供するために様々なモノ(プロダクト、ソフトウェア、WEBサイト等)が存在するのであって、ユーザーはモノが使いたいのではないということです。

たとえ「iPhoneが欲しい!」という感情があったとしても、それは「iPhoneを使うことによって自分の生活を豊かにしたい!」ということでしか無いということです。つまり、「自分の生活が豊かに」なるのであれば、「iPhone」の部分はなんでもいいわけです。

これは、わかりきったことのようですが、意識していないとモノを作って終わりになってしまうので、今後も気をつけていきたいです。

とにかく「ユーザーはどうなりたいのか」ということに照準を合わせ、その要求に自分のできることで答えてあげられることは無いか?と考え、企画し、作ることが、今後の僕の仕事になると思います。

あと講義では、やはりモバイルは世界を変える可能性を持っているということ、スケッチすることの重要性、一度実際にやってみるということが大切だということを学びました。

それとアクティングアウトの重要性も。このあたりはなかなか腰が重くて出来ないことが多いですが、なんとか業務に取り入れていきたいと思っています。

懇親会はいつもの天狗、その後味仙という鉄板の流れ。まだまだ飲み足りなかった僕らは栄のがブリチキンで飲み直しました。。。

懇親会では浅野先生に「ビジネスモデル・ジェネレーションのWSできませんか?」とお願いしたところ、「じゃあやろうか」と言っていただき、開催の運びとなりました。ごく少数定員での開催となりそうですが、非常に楽しみです。ご参加いただける方は一度僕の方までご連絡下さい。

2012年4月9日月曜日

ビジネスモデル・ジェネレーション



複数の人からオススメされた(SNSでのシェア等も含めて)表題の本を読みました。率直な感想は、とても面白くて実践的、さらにデザインがいい、近いうちにやってみよう!というものでした。




ビジネスモデルキャンバスというものを使用して、ビジネスモデルを分析・検討・創造しようといった内容です。自分自身、最近会社の事業について考えている時間が多く、また手がかりを探している状態だったのでまさにタイムリーでした。



詳細な内容については割愛しますが、僕にとっては、今後自分の行なっていく「仕事」というものをどうプランして実行していくか考える際に用いる、良いハンドブックといった感じです。考え方と手法を交互に示してくれているページが多く、まずは書かれているとおりに実践して見るだけで、見えるものが多いだろうと思います。

読んでいる最中に「ああしたらどうかな、こうしたらどうかな」といった感じでアイデアが飛んできて、そっちに思考が行ってしまって、我に返ってメモ、また本に戻るということを何度もしながら読んだので、結構時間がかかりました。しかし本のボリュームとしては多くないですし、とにかくこの手の本としてはデザインが良いので、読みやすいと思います。



読んでいる最中から納得することが多かったこの本ですが、とにかくビジュアライズすることの重要性を説いています。こういう思考は、自分の会社に置き換えてみると、できている人って本当に少ないです。自分自身はビジュアルでの情報共有がいかに簡単で重要かということを色々なセミナーや勉強会でひしひしと感じていますが、社内に閉じている人々からすると馴染みがないものだろうし、成功体験が無いので僕がいくら説いたところで身につくなんてのは望むべくもないです。席を立ってホワイトボードを使うということが全くできない。しかし、これはできない人が悪いとかそういうことじゃなくて、そういうことに触れる機会がなく、したがってそれをすることによるメリットみたいなものがわからないだけなんですが。



まずは、この本に書かれているプロセスをひと通り実践してみたいと思いますが、とりあえず一人でやることになりそうです。この記事をPostした後、会社のメーリングリストでこの本の紹介をしようと思います。何人か読んでくれると良いのですが。



あと、HCDセミナーを通じて得た知識に関する内容が頻出するなど、意図しないもの同士が思わぬ所で結びつく感じもしました。






2012年2月14日火曜日

HCD DiG #01 ユーザー評価


去る1/28、HCD DiGの活動が開始されました。HCD DiGとは、名古屋で開催されているセミナー「HCDの理解in名古屋」の参加者が、セミナーで学んだことを自分の中に定着させること、そのための復習が主な趣旨となっています。

僕の参加理由は、HCDの知識をせっかく学んだのになかなか業務に活かす機会がなく、このままでは学んだことを忘れてしまうのではないかと危機感を持っていたことでした。とにかく触れていることが一番大切なのに、なかなか触れる機会がない。

そんな時、僕のブログを読んでくださった水野さんにHCD DiGの前身となる集まりに誘っていただいたことがきっかけでした。


HCD DiGの参加者は、いまのところ浅野先生が教えてくださる「HCDの理解in名古屋」への参加経験が必須の参加条件となっており、全員が経験者ということで概ねスムーズに進められたと思います。
本家(HCDの理解in名古屋)では、ほぼ全員が初めて経験する上に時間が限られていることもあってとにかく時間に追われるのですが、こうやってゆっくり振り返るとさらに知識が定着しますね。

HCDについて
人間中心設計とは

HCDとは:使う人の観点でものを作るためのしくみ



ユーザー評価


当日は千種駅近くのニューキャストさんが無償で提供してくださっているセミナールームをお借りして開催しました。

当日のスケジュール
13:00 集合
13:05 あいさつ、WSの概要説明
13:15 タスクの設定
14:00 ユーザビリティテスト(エキスパート1名・ノービス2名)
15:00 書き起こし(4名)・NE比のグラフ作成(2名)
16:00 改善点の洗い出し・発表資料の作成
17:00 発表・ディスカッション
17:30 内省タイム・次回のアナウンス
18:00 解散

今回も改めて感じたのですが、ユーザー評価で一番のキモはやはりタスク設定にありました。どれだけユーザーの気持ちを想像してタスクを設定するかで、ユーザー評価の成否が決まってしまうと思われます。
そして、ユーザー評価にはペルソナの作成が必須ですが、ペルソナの作成にはビジネスニーズが必要など、HCDの他のサイクルも絡んでくるのでそのあたりも含めて今は経験することが一番大切かもしれないと思っています。

また、ユーザー評価という工程をWEBサイト制作のどの段階に取り入れるかで、その後の進行が全く変わってくるのではないでしょうか。最近自分が携わっている案件は全面リニューアル案件や新規構築案件ばかりで、改善案件がありません。その場合、コスト面も含めなかなかユーザー評価を組み込むことは難しいのかな、という感想を持っています。改善案件であれば、現状のサイトを評価することがスタート地点になり得ると思います。

実際の業務に取り入れると製作中の案件でも改善点がボロボロ出てきて「時間的に、これどこまで追い込む?」的な状況になることもあり得ると思います。もちろん、そういう状況を回避するためのものでもあると思うので、ワイヤーを制作している段階でモックをサクッと作ってテストするというのが最適かもしれません。

そんなところ諸々を含めて再確認できたのが、今回のHCD DiG#01の一番の収穫だったように思います。

次回は3/25(日)に行う予定です。テーマは「ペルソナ作成」。今度もゆっくりしたペースで振り返りたいと思います。4/28より今年も名古屋で本家がスタートするようですし、予習復習も含めて開催していきたいですね。

2011年12月9日金曜日

サービスデザインとUX

11月20日、モンキーワークスさん主催の「サービスデザインとUX in Nagoya」に参加してきました。あるサイトの公開が間近でアウトプットが遅くなってしまいましたが、最近少し落ち着いたのでブログに書こうと思います。

ユーザーエクスペリエンスとは何か?(安藤昌也先生)

最初に千葉工業大学の安藤昌也先生による「ユーザーエクスペリエンスとは何か?」という講演を聞きました。具体的な事例(スライドには先生のお母さんまで登場!)を交えて教えて下さいましたが、とにかくわかりやすくて、楽しみながら学べました。

UXというと我々製作者はどうしてもインターフェイスの動きなどに目が行きがちですが、そうではなく、利用前から利用後、さらには利用時間全体を通して、その製品から得られる体験こそがUX。ユーザビリティなんかも混同して語られがちですが、UXはユーザー側の視点であり、ユーザビリティはモノの品質の話。

ユーザー体験は、ユーザーの心理的要因に左右されるそうで、その心理的要因は2つ有り、興味や知識の有無(製品関与)と操作することへの積極性と自信(利用自己効力感)。ユーザーの使う意欲をいかに高められるかが大切で、それが人が長く物を使う理由だということです。まず期待が先行しているユーザーが非常に大切で、そのユーザーの期待を裏切らない製品を作らないといけないということですね。さらに言うとユーザーが成長していくプロセスを提供しなければいけない。ユーザーは意欲を持って製品に触れ、背景によって評価し意欲を調整していく。その意欲の調整を助けてあげなければいけないということでした。このあたりは分かったような分からないような、とういう感じでこれからも学び続けていかなくてはいけません。

UXの観点をデザインに結びつけるためには、ユーザーが製品を利用した体験を通してどんな感情を抱くのか、体験の感情的評価をどこまで意識してデザインするかによるとのこと。ユーザーは、ユーザーである前に消費者であることがほとんどなので消費体験→利用体験を連続的にデザインしなければいけない。そのとき、いかに長く使い込んでいくことを考えてデザインするかを考えていこうということでした。

UXとUXDに関して。UXとは体験そのものこと、UXDはその体験が量産・最生産される仕組みを作ること。コアリズムというエクササイズのDVDがありますが、非常に良くできていると紹介頂きました。それは、エクササイズがゴールを設定するのではなく、ユーザーが設定したゴールに向かって楽しんで続けられることを意識した作りになっているとのことでした。画面の中に4人の人が並んで踊っているのですが、それぞれレベルが違うらしく、自分のレベルに合わせて投影できる所が印象に残りました。まさに段階に応じてユーザーの成長を促しているのだなと感心しました。

とにかく、UXDとは長期的なUXをデザインすることで、モノやコトのデザインではなく、もっと大きな視点の話なのだと感じました。ユーザーがその製品がもたらす様々なモノやコトに触れてどんな体験をするか、ユーザーにどんな体験をして欲しいか。その製品を欲しいと思ったときから使った後に他の人に話すところまでを想定する。使った人にどうなって欲しいかを考えることを習慣にしていきたいですね。

あと、UXDの知識は特にリーダー的な役割の人に必要な知識であるということでしたが、制作に関わる全員が持っていればそれだけ良い体験を与えられる可能性は高まると思いますので、学んだことを少しずつでも普段仕事をしているチームで共有していきたいと思いました。


サービスデザイン設計法(浅野智先生)

「HCDの理解」のセミナーで教えていただいている浅野先生の講演はサービスデザインについてのものでした。事前にサービスデザインと聞いてなんとなく「根っこ」の部分の話だろうな、と想像していたのですが、やはりとても為になる大切なお話でした。

まず冒頭にオランダ・フィリップス社の「橋をデザインするのではなく、川を渡るシステムを作れ」という言葉を紹介して頂きました(実際に見た人はいないというお話も!)。
僕達はやはり製作者なのでWEBなどのモノから考えてしまいがちですが、ユーザーの目的はモノを使うことではないということです。新幹線の券売機を便利に使いやすくするのではなく、早く快適に移動できる手段を提供してあげることが大切で、その手段として新幹線やスイカなどが用いられるということです。これは最近会社の会議でも話していることですが、どうもメディアありきのセールスになっているようで、そこの意識を変えるのには相当苦労してます。とにかく、全てのモノはコトを成す為の手段で、そのコトはUXの為のものだということです。

また、実は楽に快適に目的が実行されればそれでよいかというと、最近はそうでもないことが分かってきたということでした。それは難しいことを達成することもUXの一つだということです。ゲームや楽器なんかもそうですよね。難しいテクニックを使いこなせるようになるためには、うまくいかなくてイライラしたりもします。昔、それなりにゲームをやっていた頃は「いらいらするならやめればいいじゃん」と何度言われたことか。。。でもそのネガティブな気持も、克服した時や達成したときの気持ちまで含めてUXなんですね。また、ただ単にボケッとしたいことなどもUXであると。

とにかく、僕らがやっている仕事上の様々なことというのはすべてUXに向かっているということ。その中でもHCDの手法は、国際規格であり、最も言語化されていて、新しい手法も次々に取り込んでいるので、これを見ていればだいたい網羅できるんじゃないかということでした。

そしてお話はモバイルファーストについて。アジアやアフリカではPCを持たずにスマートフォンの時代になるとのこと。
モバイルファーストの概念は、
サイトの開発をモバイル端末向けから始める
画面サイズや接続スピードなどの制約が多い
よりフォーカスしたコンテンツ作り(目的志向)
利用の文脈に応じて使えるように情報を作る
「なんでもできる」から「やりたいことをすぐできる」へ

たしかに、スマートフォンを利用するときは、やりたいことがすでにあって、それを実現するために個別のアプリを使う傾向にあります。またブラウザを使ってちょっとした事を調べるのにもPCサイトをスマートフォンで利用すると、情報を探し出すのに非常に苦労したりもします。ネットにつないで情報を得るという行動がどんどん外に出ていき、しかも短く頻繁になっている気もします。そんなときに情報を探し出しにくいとUXが良くないものになってしまうのかなと。

HCDのセミナーの時に教えていただいて、ココロに残っていることの一つに、「ユーザーの欲求は変わらない。変わるのはデバイスだけ」というものがありますが、今回も言及されていました。まさしくそのとおりだと思いますし、要は本質的なところを抑えておかないとデバイスや技術に振り回されてしまうということなのでしょう。

音声認識についても触れられ、目の見えない人のためにやることが字の読めない人のためにもなるということにつながるんだと言われ、ここでもハッとさせられました。以前CAのキャリーバッグについて教えていただいたことと同じですね。結局誰かのために徹底的に取り組んだことが他の人のためにもなるということでした。

最後に、とにかくユーザーの経験をデザインすることが重要で、それにはユーザーの事を知らなくてはいけない、それをよく考えること。それが積もっていくんだよ、と教えて頂きました。とにかく実践することも大切だ、とも。



ワークショップ|最悪の旅

講演のあと、数チームに分かれてワークショップに。今回はNHKのスタンフォード白熱教室でも行われたという「最悪の旅」をテーマにしたものを実践することに。このワークショップは相当面白かったですね。慣れていないこともあって最初はぎこちないのですが、後半はアイディアがスムーズに出るようになって、それもまた良い経験を得られました。

まず、起こりうる最も最悪な旅を考えることから始めました。
だいたい彼女と別れるとかそういう感じになるのですが、チームによってはライオンに食べられるとか、霊が出るとか。。。ここで感じたのが、やはりどうしても常識の範囲に収めてしまうということです。それとアイディアを出すことを楽しめてない。少し遠慮してしまって、面白い事を言ってやろうという空気を作れませんでした。初対面の人もいますし、難しい所もありますが、それでもそういう空気を作れるような人間になりたいと思いました。

最悪の旅を考えてまとめ、チームごとに発表します。

次にその最悪の旅のプランを隣のチームに渡し、最高の旅に変えるアイディアを出し合います。この頃になるとチームのメンバーも少しずつ慣れてきて、積極的に発言していました。最後には良いアイディアも出せ、自分たちは満足できたと思っています。

また、他のチームの発表を見ていて本当に感心することが多く、そこも含めてとても刺激になりました。

まとめ

今回のセミナー&ワークショップでは、HCDより突っ込んだ、もっと根本的なところに触れられたと思います。
仕事をしていく上で最も重要なところは誰かの生活をハッピーにすることだと思いますが、どうしても製作者はモノに目を向けがちです。WEBだったり印刷物だったり、プロダクトだったり。しかしそれらのものは、何かを成すための手段でしか無いということを常に意識し、習慣化することが大切だということを再確認できました。お客さんが何に不自由を感じていて(場合によっては気づいていないことも多い?)それをどうやったら解決できて、その解決する過程で僕らに何が出来るのか。その根本的なところを考え続けずモノからの発想になってしまうと、時代が変化したときに選ばれなくなってしまうという危機感を持って仕事に取り組んでいきたいと思います。