2013年6月10日月曜日

息子が父を(一部)超えた日orz

久々にブログを書きます。

息子がくれた、父の日の手紙。

最近は他のブログをガリガリと書いていたので
自分のブログはサボり気味だったんだけど、
FBに書くのもピンと来ない感じなのでこちらでライフログ的に。

先日の出来事。

息子(5歳・幼稚園)と、あるレストランで食事したあと、店の外に出た時のこと。

エントランスのところに腕には和彫りのタトゥ、
足にもそこそこのタトゥが入った白色人種の外人さんがいた。

めんどくせーやつだったら鬱陶しいからスッと通りすぎようとしたら、
突如息子が「ハロー」と話しかけやがりました。
※内容は大体こんな感じ、というものです。

息子「ハロー」
相手「ハロー」
息子「名前は?」
相手「パブロだよ」
息子「僕は、はるき。どこからきたの?」
相手「スペインだよ。君は日本人かい?」
息子「そうだよ。」
相手「スペインはサッカーがすごい国なんだぜ」
息子「へえ。僕サッカー好きだよ」
相手の奥さん(日本人)「すごいね!」
息子「だって英語勉強してるもん。バイバイ」
相手「バイバイ」



息子よ、父を(一部だけど)超えるの早すぎやしないか。。。
「ちょっと話してみたかったんだー」だと。。。

ちなみに相手の外人さんには英語、奥さんには日本語で。

しかもスペイン人とのことで
相手の英語はそんなに上手じゃないように聞こえたが、
臆すること無く英語をツールとして、
英語が母国語以外の人間とコミュニケーションを取っていたことに
ものすごく驚くとともに、感動した。

そうだ。

英語は単なるツールで、それで何をするかが大切だ(きっと)。
だから、英語は2歳から学ばせていて、
大きくなってから英語を学ぶことに
力を注がなくても良いようにしたかった。
英語の歌を訳詞なしで聴き、
英語の本を原文のままで読み、
英語の映画を字幕なしで見て、
そして何より
英語で何かを学べるようにしてやりたかった。

正直お金が相当かかる。
キッツいなーと思いながら学ばせてきたし、
もちろん学校で英語に力を入れている分、
家庭での日本語教育も頑張ってきた(主に嫁が)。

そんな自分の服は、ほぼGUとユニクロとグラニフだ。
カネねーよ。

僕の周りの、英語を話せる留学やワーホリを経験している人に
「息子に英語やらせてるんだよねー」というと、
「その気になればすぐ覚えられますよ」と言われることも多い。
しかし僕は、英語を覚えるために大きくなってから費やす時間が
もったいないと思っている。

18や19のころに英語を覚えるためだけに
幼児のような会話から始めるのはもったいない。
幼児のような英語は幼児の頃にやっとけばいいんじゃないかと。

もちろん僕は経験してないので、この方針は間違っているのかもしれないけれど、
少なくとも自分は知らない外国人に英語で話しかける勇気も英語力も、
37歳現在未だに持っていない。

そんな、英語に対する想いを持って教育してきて、
それが少し実りつつ有ることを実感できた。

息子にとってもいい経験だったんじゃないかな。

パブロ、気さくに受け答えしてくれてありがとう。
君の右足に「食卓犬」というタトゥが入っていたのは忘れない。

2013年3月6日水曜日

はたらく理由


先日、ある方々と飲みに行ってきた。きっかけは、その中のひとりがFacebookにポストしたことに、僕がコメントしたことから話が広がったもの。

メンバーは、それはもう僕なんかがこの中に入っていいんですか?ってくらいお仕事の出来る方たち。でもせっかく誘って頂けたのだから、遠慮なく話をして来ようと思った次第。

なんのために働くのか。

食事をしながらみんなでワイワイと話していたのだが、やはり仕事が楽しくて仕方ないメンバーが集まっているので、自然と仕事の話になる。それなりにキャリアのある人たちなだけあり、組織のマネジメントや仕事(というかビジネス?)への向き合い方など、ざっくばらんに話せて非常に有意義な時間を過ごしていたのだけれど、その中で「佐藤さんはなんではたらいているの?」という問いかけをされた。

もちろん、このテーマは常に頭の片隅にあるし、僕だっていい大人だからとっさに答える「答え」も持っている。それは、

「常に何かに向かっていないと、僕という人間は、腐ってしまうから。」というもの。

要は、僕には働くのに大した理由なんてないのだ。

この「答え」ですら無いかもしれない「答え」は、僕なりに長く考えてきて至ったものだから、決して嘘や偽りはもちろん、適当に言ってる感じも無いと思っているのだけれど、本音で言えば、対外的にもう少しかっこいい「答え」が欲しかったりするときもある。だいたい、この「答え」は今の時点でのもので、明後日には変わっていることだってあり得る。

「答え」なんてそんな簡単に出ないよね

僕も人なりに挫折して、悩んで、落ち込んで、ちょっと引きこもって、そこから何とかいまに至っている。その引きこもってた時期に、「答えなんかでない」という「答え」を見つけた、ということで自分を納得させることに成功した。もっともその時悩んでたことは「なんで生きてるんだろう」とかいう、よくありがちなものだったのだけれど。

辛い思いからは逃げるべき

食事会のメンバーの一人がすでにブログにも書かれていたのだが、やっぱり僕らは僕らの為に働くべきだと思う。働く理由はたくさんあると思う。しかし、結局は自分のため。だから、つらい思いなんかしちゃいけないとも思ってる。

これは一面を捉えると「もっとゆるく生きようよ」とかいう感じで捉えられがちだけど、そうじゃなく。

辛いと思ってることに向き合ったって、どこかにそれを楽しんでる人間がいたら、その人より成果を出すのは非常に難しい。成果が出ることはひとつの成功体験につながって、もっと楽しくなる可能性が膨らむ。だから、嫌なことや辛いことなんかやらずに、楽しいことをやればいいと思う。その楽しいことを達成するために、毎日のちょっとした努力や、積み重ねが必要になるってのが「頑張ってる」状態なんじゃないかと思う。

はたらく理由なんてなんだっていいよね

人がはたらく理由は、正直“後付け”でいいし、自分本位でいい。自分にとっての幸せが何か、を考えることの方がすごく大切なのではないか。それを実現するための「一つの手段」なのだと思う。

何かを達成したいとか、お客様にありがとうと言われたいとか、それだって結局は全部自分のためにやることであって、仕事に関して言えば、そこに利害の一致があるから僕とお客様がお付き合いさせていただいているのだし。

突き詰めて言えば、いま僕が考えているのは家族の幸せだけ。家族が幸せでいるのにはお金がいるし、僕の精神状態も良好でなきゃいけない。だから、働く場所や条件、お付き合いするお客さんや仕事の内容なんかも大切な要素になってくる。まあ、家族が幸せ=僕が幸せなんだけど。

やっぱ真剣な人たちと話すと最高に面白い

今回の食事会のような、ちょっと考えこんじゃうようなコミュニケーションが、自分の考えを深化させてくれる。あとお酒飲んでるから、言いたいこと言っちゃうしね。

いい機会を頂いて、とても感謝しています。

2013年2月14日木曜日

UX&HCD セミナー & ワークショップ 2013.2.10


先日、UX名古屋主催・浅野先生によるUX&HCDセミナーに参加してきた。

浅野先生のセミナー&ワークショップは随分久しぶりだった。昨年もHCDのセミナー&ワークショップには少しだけ参加したが、様々な理由でちょっと意欲が減衰していた。しかしやはり得るものが多いと思うし、今年は浅野先生が教えてくださるので、できるだけ参加しようと思っている。

まずはサービスデザインとUX、HCDについて大きな視点で概論を話してくださった。その後カスタマージャーニーマップ作成のワークショップ。

久しぶりに聞くお話はやはり少しアップデートされている部分もあって、非常にわかり易かったし、以前よりわかるようになってる自分も確認できた。血肉になっている感じ。

参加者としてありがたいこと

浅野先生の講義は、スライドをA4に6枚ずつ面付けしたプリントを配布してくださる。これが非常に、非常にありがたい。

他のセミナーなんかだと「後で配布するんでメモはとらくていいですよ〜」と仰るスピーカーの方が多い。しかし僕らは写経がしたくてメモしてるんじゃなくて、単純に感想や疑問をメモしたいだけ。「後で配布〜」だと、どこの話に関する感想や疑問かというのを把握するために、必然的にサマリーをメモしなければいけないので、メモ量が増え、結果的にずーーーっとタイプしているということになってしまう。
正直、これは参加者としてはもったいない。

その点、先生のようにスライドを当日紙で配布してくださるとメモ量は激減。その結果講義に集中できる。

だけど確かにスライドのプリントはお金もかかるし、手間もかかるので大変。

であれば、テキストによるアウトラインでいいから事前もしくは当日に欲しい。これをしないのは、なぜだろうか。こういったところを見ても、先生の講義は経験値がぜんぜん違うのだろうなと思う。

浅野先生の講義

サービスデザインとは

いつもお話される「橋をデザインするのではなく、川を渡るシステムを作れ」がすべてを表していると思う。またフォードの話もしてくださる。「それまで馬車に乗っていた人に、何がほしいか聞いたら、もっと速い馬車がほしいと答えるだろう」

これらは、僕が社内でもよく話している「お客さんは広告を出稿したい訳じゃなくて、集客したいんだよ」というのと同じだ。基本だけど。

また僕らが普段行なっているモノづくりは、サービス(コト)のために行われる。そしてそれはユーザー体験(UX)を提供するためである。
ある人が言った、モノからコトへ、そしてヒトへ、という順序だと思う。

ユーザビリティからユーザー体験へ

この辺りのお話で印象に残ったのは、下記の分類。

  • 予期的UX
  • 一時的UX
  • エピソード的UX
  • 累積的UX

これは一昨年だったか、安藤先生によるサービスデザインの講義で取り上げられていた。これは非常に大切な考え方のように思う。人は、最初からユーザーなわけではない。

そして、必ずしもゴールへの到達だけがUXではなく、プロセスや状況にもUXは存在する。というか、今起きているすべてのことがX(エクスペリエンス=経験)だと思う。僕がこうしてMacを使ってアウトラインソフトでブログの概要をまとめているのもその一つ。そこをユーザーとしてくくることで、サービスに対する経験としているのだと思う。
HCDでは、良いUXにはユーザービリティがベースにあるという考え方だそうだ。しかし使いにくさもUXであり、それが良いUXにつながるケースも往々にして有る。



そしてスマートフォンの時代

いま最も人口の多い地域であるアジアやアフリカでは、PCを持ったことがない人々がスマートフォンを持っている。そしてその普及率は日本の比ではない。iPhoneも全然いないのだそうだ。
そして日本でも(特にサービス提供側の人間は)PCからスマホという流れがあるが、20歳前後から下の世代であるデジタル・ネイティブたちにはPCを持っていない人が増えている。この世代は我々とはリテラシーが違う。デジタル・ネイティブとは言えない僕も、テレビで気になることがあればすぐにスマホで調べるようになった。

ただ、ユーザーの文脈に合わないサービスは使われない。そして日本の成熟した社会は、人々が驚くほど多様化している。だから、みんなが使うサービスは生まれにくい。

また、スマホの中では完結しないサービスにどんどん進化している。
20110630homeplus_01
韓国の駅のホームでの買い物(参照元:ソシエタ|駅がスーパーマーケットに! カンヌを制したTESCOが韓国で仕掛けた秘策とは

我々は、ユーザーの体験をデザインすることが大切で、そのためにユーザーのことを知らなくてはいけない。そして、HCDの手法を利用するとより良くユーザーのことが分かるようになる。HCDはあくまで手法であり、学問ではない、と思う(なんか周囲に誤解している人がいる気がする)。

HCDプロセスについて

概論ということで、駆け足で説明してくださった。個人的なことを言えば、HCDプロセスについて到底身についたとは言えない。業務に取り入れた経験もあるが、それが正解かどうかもわかりづらい。しかし、何もやらないよりは、知見が貯まるという意味でも良いと思っている。

ワークショップ

今回のワークショップでは、カスタマージャーニーマップを作成した。スターバックスのものが有名。

(参照元:Little Springs Design | Blog | Improving the Starbucks Experience

まずは分解するところから始めるという意味で、いま勉強している分野と近しい部分もあり、非常に面白かった。
先日あるアプリを企画した時にも累積的UXを意識することで、その中のどの部分をアプリで担うかが明確になったし、感情の起伏を取り入れることにより、容易にサービスの問題点を共有することができる。
それと、先生も仰っていたが、やはりアイデアや気付きは体を動かすことによって出やすくなると思う。解決策は出にくいのかもしれないし、企画に落とすときは机上で唸る時間も多く必要だと思う。しかしその元となる部分は、複数人でワイワイと進めていくのが良いのではないだろうか。
というか、その良さは実感しているわけだから、社内でも取り入れて行きたいところ。

まとめ

やはり浅野先生のセミナー&ワークショップは非常にわかりやすいし面白い。そして先生の名古屋でのHCD関連セミナーも4年目ということで、ある程度わかっている人も出てきていて、迷ってしまっているチームは少なかったように思う。
以前から言っているが、HCDの手法は、少しワークショップに参加したからといって身につくものではない。だけど、知識として知っておくと現場で活かせる場面はそこかしこに出てくるように思う。しかも、他ジャンルのことを学んでいる時に点と点が線になることが往々にしてある。

少し前に、HCDの前は何中心だったの?というポストを見たけど、プロダクトや開発者中心設計な製品が多かったんだと思う。でもヒットしてる製品は、割りとユーザー中心になってたから、僕らの目に触れていないだけかもしれない。HCDってそういうものを減らすためのものなんじゃないかと。

2012年9月18日火曜日

WCAN 2012 Autumn


先日、WCAN2012 Autumnに参加してきました。夏は参加しなかったので、半年振りとなりました。

今回は4部構成かつ各時間帯毎に3つのセッションから受講するセッションを選ぶという形式。僕はこの形式、結構気に入ってます。それは、登壇される方の講演内容によってはどうしても「今の僕には必要ない」内容のセッションもあったりしますので、そこをある程度回避できるからです。

ただ、正直各セッションの時間がもう少し長いといいですね。みなさんおっしゃってましたが、やはり40分ではそれほど多くのことは伝えられないと思います。とは言え、かかる費用や集客等考えると、このあたりが落とし所なんだろうとは思います。

僕の受講したセッションは以下のとおりです。

C-1:ペンギンとパンダで倒産も。これからのSEOの考え方
アイスタイル株式会社 木村 純 さん

B-2:アホでもWeb制作で食えた!あほ事業部創設までの軌跡
株式会社デック 大屋 慶太 さん

A-3:中小零細企業ECサイトの考え方 - クライアントと良好な関係を築いた考え方
春芳堂 伊藤 清徳 さん

B-4:Gamification Basic Starter Pack
株式会社ディディアイディ 中村 貴弘 さん

我ながら良いセッションの選択をしたと思います。いま僕がやらなければいけないことを考えると、これらを選択せざるを得ないです。(大屋さんのセッションだけは、消去法&タイトルへの興味本位でしたw)。それでは、各セッションを振り返っていきます。

※まだ手元にセッションで使われた資料が届いてないので詳しい記述は避けますが、また資料が届き次第加筆すると思います。


C-1:ペンギンとパンダで倒産も。これからのSEOの考え方
木村さんのセッション、非常にわかりやすかったです。クリエイティブと少し距離のある部分の話は普段なかなか聞く機会が少ないので、非常に勉強になりました。WCAN参加者はいわゆるクリエイターが多いと思いますので、そのあたりを意識した切り口でお話いただけたのが良かったです。おそらく専門的にやられている方からすると物足りなかったのでしょうが、僕の知識レベルに完全にマッチしてました。

SEOはロングテールで
とにかく今、SEOはロングテールが基本だということでした。SEOにリンクが重要項目であることには変わりがないが、リンクの数だけを集めても仕方がない。やはりリンク元のサイトの質が非常に重要だということです。リンク元のサイトの質が良ければ、自ずとCVRが上がり、業績につながるということ(もちろんCV数は、母数が違うので検索からのほうが多い)。

そして、特定のキーワードに頼ったSEOはGoogleのアルゴリズムの変更に振り回されずに済むとのこと。ビッグワードでランクが上がると、もうSEO業者への依頼をやめられなくなってしまう。それよりは総アクセス数を増やすことを念頭に置いた施策が重要になってくるということでした。

SEOにおいて重要な2つのこと
また、SEOで重要な2つのことを教えて下さいました。
ひとつは「ドメインを強くする」ということ。とにかく長く運用し、質の良いサイトからドメインに対するリンクを貰うようにする。

そして、もうひとつが「流入キーワードを増やす」こと。これは先述した通りロングテールなキーワード戦略ですね。特定のキーワードに頼らないSEOということです。

上記ふたつに有用なのが、やはりブログだということでした。ブログの重要性は普段の業務でも指摘されていますが、その理由を明確にお話いただきました。

以上かなりざっくりとまとめましたが、非常に面白く、かつ今後の業務に役立つセッションでした。ありがとうございました。



B-2:アホでもWeb制作で食えた!あほ事業部創設までの軌跡
大屋さんは面識もなく予備知識無しで臨みました。もちろんデックさんのサイトは見ていましたし、複数の友人のSNS上での発言から「面白い人」なんだろうな、とは思っていました。

このセッションでおっしゃっていたことは、「普通にニーズはない」ということだと思います。僕もそう思います。しかしこれを実践するのは非常に難しいことも理解しています。実践しているデックさんは素晴らしいですね。

名古屋では「あほ」だけではむずかしい?
面白いことだけをやって食べていけるのは日本だと大阪と東京だけ?ではないでしょうか。(すみません、他の都市のことは全然わかりません)。とにかく名古屋は、面白いことを面白がる人の総数がどうしても人口比率的に少なくなります。これは、東京で演劇がたくさん上演されているのに、名古屋で少ないのと似ている気がします。名古屋からはバーグハンバーグバーグさんは生まれなかったのではないかと思っています(硬い業務をやられているかは知り得ませんが)。

要は、名古屋で面白いことだけをやっていると、単発の受注はあるのでしょうが継続的な受注は難しいという事だと思います。しかし会社を経営していく以上当然案件を継続的に受注しないといけません。そこで事業部を2つ作る、というお話をしていただきました。

実際の業務にどのように落とし込まれているのか興味を持ちました。また機会があったら聞いてみたいと思います。



A-3:中小零細企業ECサイトの考え方 - クライアントと良好な関係を築いた考え方
伊藤さんは普段業務で接することもあるので、いつも勉強させてもらってます。この日のセッションもかなり掻い摘んでおられたとは思いますが、非常に勉強になる内容でした。

WEBを現実にあてはめて考える
伊藤さんがいつも言われているのは、WEBを現実にあてはめて考えること。もちろん良い仕組みを作る上でも大切な考え方なのだろうとは思いますが、この日言われていたのは、これをやることによって「クライアントのネットに対する意識的障壁を下げることができる」ということでした。

僕も零細企業に対して販促全般に関わらせていただくことがあるのですが、ことWEBに関して言えば最初から「全然わかんない」という姿勢のお客さんが殆どです。その場合、WEB施策を全部業者に投げたりできない中小零細の社長さんに、どうWEBに向きあってもらうかが重要となってきますので、僕にとって結構大きなヒントでした。

あとこれも痛感しますが、その規模の企業は、ブランドコンセプトや企業カラーなどは一切ない場合が多いです。しかし我々がそれを具現化するスキルがあると良いとのことでした。

どの立場にたって考えるか
最後の方に仰っていたのですが「我々は売り手にはなれない。だから徹底して一般消費者になる」とのこと。これ、重要ですよね。売り手の気持ちは売り手しかわからないですが、消費者の気持ちにはなれる。そして、どちらかというとその方が必要な目線となってきます。伊藤さんは実際にオフィスで飼う犬を、その経験を得るためにECサイトで購入されたようです。

その他にもたくさんエッセンスが散りばめられていましたが、どれも今後の業務に役立つ内容でした。


B-4:Gamification Basic Starter Pack
中村さんのセッションは、割りとバズワード感のある「ゲーミフィケーション」についてでした。お話の冒頭で中村さんが「ゲーミフィケーションって言葉、初めて聞いた人」と問われて、かなりの人数が挙手されていたのに驚きました。結構いろんなメディアで取り上げられている印象を持っていたので、8~9割の人が聞いたことあるレベルだと思っていましたが、全然少なかったですね。

ゲーミフィケーションとは
「ゲーミフィケーション」という言葉や説明に使う用語等は、正直ものすごくゲームの話ばかりです。しかしゲームだけの話じゃないというちょっとした難しさがありますね。中村さんのお話は、ものすごくきちんと丁寧にされていましたし非常に面白いものでした。が、聴衆側が一度ゲーミフィケーション関連の書籍を読んで、ゲーム≒ゲーミフィケーションだということを掴んでからでないと、ゲームの話だと取られる危険性があったと思います。

ゲーミフィケーションで必要なこと
ゲームには必要なロールがあるとのことです。

  • ルールクリエイター
  • ゲームマスター
  • プレイヤー
  • エネミー
  • サポーター
  • オーディエンス

上記を実例を上げてマトリクスで示してくださいました。

ゲームを作るときに必ずやることがあると仰っていました。それは以下の5つです。

  • 勝利条件の明確化
  • 関係性構築
  • 行動設計と結果の明示
  • フロー状態への誘導
  • 習熟度の把握

これらがないと、ゲームにならないとのことです。ゲーミフィケーションでは、このゲームを作る方法論を利用して様々なコミュニケーションを円滑にしよというものだと思います。そこにはルール作りも必要だし、ソーシャルな要素も必要となってきます。これらを綿密に設計して、施策へ落としこむことが必要となってくるのでしょう。

正直ゲーミフィケーションは非常に難しいと思いますので、僕自身まだまだ理解できていません。ただ、興味はあるし本も少し読んだので、なんとかうまく業務に取り入れたいですね。

※まだ手元にセッションで使われた資料が届いてないので詳しい記述は避けますが、また資料が届き次第加筆すると思います。

2012年7月23日月曜日

スマートデバイスにおけるUX/UIデザインワークショップ in名古屋

先日友人の主催するセミナー&WS、「スマートデバイスにおけるUX/UIデザインワークショップ in名古屋」に参加してきました。

場所は、今をときめく地元企業のAチームさん。とても素敵なオフィスで、びっくりしました。

そして講師は株式会社ワンパクの阿部さん。阿部さんによるセミナー&WS参加は二度目で、前回は昨年行われた「コミュニケーションデザイン」に関するワークショップでした。その時の資料は今でも何らかの企画をする時に目を通させて頂いてます。

さて、今回のお題は「スマートデバイスにおけるUX/UIデザイン」。UX(ユーザーエクスペリエンス)とUI(ユーザーインターフェイス)の関係性などはツイッター上での議論も散見します。非常に抽象的な部分が多いトピックなのがその原因かと思いますが、僕自身は色々な方の意見やセミナー参加などから結構すっきりと(自分なりに)理解できていて、それ自体よりはその設計方法に興味が移っています。

UXD(ユーザーエクスペリエンスデザイン)となるとこれホントに難しい気がします。そもそもUXDとは、顧客のUXを追求しているだけでは全然ダメだと思っていて、大前提として企業に利益をもたらさなければいけないわけです。要はビジネスニーズありきですよね。しかも僕らは何でも出来る巨大企業に所属してるわけでも無いですし、それぞれの得意分野がある中小零細企業に所属しているわけです(※仲間のなかには比較的大きな企業に勤めている方ももちろんいますが)。そんな僕らにも出来るUXDのやり方ってものがもう少し整理できればいいなと思っていました。

人が何かの気持ちを持って、何らかの行動を起こし、その結果様々な体験をする。それは瞬間瞬間のものもあれば、その瞬間を累積したものや、行動に移す手前の気持ちや、数年後に何かのキッカケで振り返ることもある。これらがUXだと思います。これを例えばWEBや広告を生業としている受託企業の僕らに設計できるのでしょうか。もうすでにそれはWEB制作会社だったりの仕事の範疇では無いのでは、と。

やはり(当たり前かもしれませんが)すべての発信は依頼主の企業が主体となってして行かなければいけない気がします。要は依頼主が自社製品やサービスによる良いUXを顧客に提供していくことを決める、ということです。そこに、広い知識を持ちつつ(WEB制作だったりの)どこかのパートに特化した我々のような企業がサポートする形でコミットしていく。

で、実は僕は、そんなこと(UXD)が出来る企業になる必要があるのかどうか、という視点も必要な気がします。もちろん知識や経験としては持っておくべきだと思いますが、「全体のことは他の企業にお任せして、クリエイティブのところで貢献します」とか、全然有りじゃないでしょうか。

UXについての知識自体は共通言語として共有しつつ、UXDはそれが得意な会社がやればよいのでは?というのが今のところの感想です。そうしないと特に地方においては、すべての企業がすべての能力を備えようとする。またしばらくすると考え方が変わるかもしれませんが、いまはそんな感じで考えています。

その他アフォーダンスや対応づけのお話もしていただきました。これらは阿部さんからの資料の提供を待って、再度まとめたいと思います。


ワークショップについて

ここからはワークショップについてまとめます。今回のワークショップは某有名音楽教室(子供向け)を題材として、その購入検討者(新規・既存)にWEBを通じてどのような体験を提供し、最終的に契約まで持っていけるかというものです。

こういったワークショップで大切なのは「下手でもいいから最後までやる」だと思いますので、品質はそれほど優先せず、経験することを大切に進めました。

ペルソナ作成

まず、対象となるひとのモデルを共有するため、ペルソナをつくります。今回はペルソナ作成は主目的ではないので、割りとザックリ妄想混じり、メンバーの友人や家族を思い浮かべながら意見を出し合い、それを二人のペルソナに落としこんで行きました。

ここで思ったのが、ペルソナ作成が主目的ではないワークショップにおいては、主催者側がペルソナを提供するというのも有りなのではないかということです。僕自身はHCDセミナーでペルソナ作成を経験していますが、とてもじゃないですが普段の業務でペルソナなんて作れないなーというのが実感です(※妄想ペルソナは除く。というかそれはペルソナではないですよね)。まずはしっかりとした数のインタビューやログの解析をして、それを適切な手順を踏んで作っていくものだと思うのです。もしそうでない、簡単にそれなりの精度のペルソナを作る方法があればぜひ習得したいです。

また、ペルソナ作成が主目的ではないワークショップにおいて参加者がペルソナを作ることに意味があるのだとすれば、それはそこを理解した上で取り組みたいです。


利用シーン・ユーザーシナリオ作成

次にそのペルソナがWEBサイトを利用するシーンと、そのシーンで想定できるシナリオを作成します。ここは模造紙を壁に貼る、いつものブレスト方法を使いました。やはりHCDセミナー受講者を中心として「これが一番やりやすい」というのが浸透してます。

まずシーンをチームで検討。「こんなのもあるんじゃない?」とか言いつつペタペタとポストイットに書いて貼っていきます。今回は「家で」「移動中」「外出先」としました。

次にシーンに対するシナリオを作っていきます。ここでも細かい事象レベルに分けて考えて行きました。「テレビを見てる」「電話中」「PCに向かってる」などの次に「○○のような番組を見て」「○○と電話をしていて」「○○のサイトを見ていて」という感じでどんどん進めていき、さらにそこにユーザーの感情を加えていきます。


ユーザーニーズ洗い出し

ある程度シナリオが出揃ったら、何らかの感情を持ったユーザーが求めるコトを書きだしていきます。「最寄りの教室が知りたい」「適したコースを知りたい」「OB・OGがどんな人なのか知りたい」などです。

コンテンツ・機能の洗い出し

そして上記のニーズを満たせる、WEBコンテンツを検討していきます。今回は時間もそれほどなかったので絞って考えてることにしました。その絞ったニーズとは「ウチの子供に向いてるコースは何?」「教室に通うと将来どんな人に成長するの?」というものです。

それらに対して、「こんなコンテンツやシカケを作ったらニーズを満たせて、コンバージョンにつながるんじゃないか?」というものをチームで相談してアイデアを出し合いました。

コンセプトダイアグラム作成

次に、ユーザーの気持ちや行動を一枚の紙に落としこんで「コンセプトダイアグラム」を作成しました。

これはエクスペリエンスマップに似た機能を持っていると思います。他の参加者の方が仰っていましたが、エクスペリエンスマップは作るの大変だし、WEBでどうこうというよりももっと大きな動きとして考えないと使えないと思う、ということでした。

その点、この「コンセプトダイアグラム」はもう少し小さいスケール感でも使えるのではないかと思いました。ユーザーの気持ちの動きを含めて適切にコンテンツを提供することで、企業の目的である「契約」につなげていく一連の動きを表現できたのでは無いかと思います(何度も言いますが、クオリティは問いませんw)。

ただ、あとから振り返るともう少し前後の気持ちから拾い上げたほうが良かった気がしています。サイトに来る前の気持ちから、契約後の気持ちまでを描いていくのがUXDではないのかと思いますので。

ペーパープロトタイプ作成

今回は時間が無かったのでここは割愛しました。ですので、実はUIに関してはあまり触れることができませんでしたね。しかし、スマートフォンのようなデバイスのデザインに関しては書籍も沢山出ていますし、WEB上にも情報が沢山あるので、それ程重要ではないと思っていました。

相互評価・観察

最後に、全員で各チームの模造紙の前に移動して、プレゼンテーションです。僕らのチームは、久々に僕がプレゼンしました。

僕個人の感想として、すべての成果物に対して説明を細かくしても聞いてもらえないと思ってますので、細かい部分は相当端折り、それより企画のキモの部分を感情を込めて説明することを意識しました。まあそれなりの発表が出来たのではないかと思っています。

それとあとから少しだけ後悔したのですが、プレゼンに「ストーリーテリング」の手法をエッセンスだけでも取り入れればよかったと思っています。こんなチャンス無かったですよね。。。残念。

僕は最近色々なワークショップに参加していますが、ワークショップの良い所は短時間でお手軽に講師の持っている経験をエッセンスお取り込むことが出来るというところだと思っています。品質は、こんな短時間でいいものができるわけがないです。ただ、いいものにしようとするプロセスは非常に重要だと持っています。でも優先すべきは最後までやり切ることですよね。そこを意識しています。だから実は「やりたいようにやって下さい」は僕的には必要ではなくて、今回であれば阿部さんの「僕はこうやっているから、今回はこのやり方でやりましょう」という方が良かったと思います。それがとても知りたかったです(エッセンスだけでも)。それをいかに自分のやり方にしていくかは参加者次第だと思いますし。

それに加えて、ブレスト/ファシリテーション/プレゼンテーションの練習だと思っています。本当は毎回プレゼンしたいです。だけど、普段はちょっと遠慮しています。

懇親会→二次会→三次会

すべてのチームの発表が終わって、懇親会です。この懇親会がスゴく良かったです。実は参加者の中に株式会社ツルカメの代表:森田さんが(なんと!)受講者として参加されていたのですが、今回の講師の阿部さんと熱い話もありましたし、懇親会での前半は阿部さんとしっかりお話ができて、いろいろヒントを頂けました。

それにしても阿部さんも僕と2つしか歳が違わないんですよね。少しでも追いつけるようにこれからも修行するしか無いですね。。。頑張ります。

2012年7月4日水曜日

HCD-Netセミナーin名古屋2012(第3回)ストーリーテリングワークショップ


先日、今年のHCD-Netセミナーの第3回目に参加してきました。
今回もまずは座学で小林先生のHCD概論を学び、その後はLINEで話題のNHN JAPANにいらっしゃった酒井さん(丁度退職と重なったそうです)による「ストーリーテリング」のワークショップが行われました。

HCD概論|小林先生(愛知工業大学情報科学部)
今回のHCD概論では、主にアフォーダンスと設計プロセスについて学びました。アフォーダンスに関しては、少しかじったことがある程度ですが、今回お話いただいた内容に関しては概ね理解できていました。そして続いてデザイン設計プロセスについてのお話をしていただきました。iPhoneのUSBケーブルの形状を例に講義を進めてくださいましたが、たしかにあの形状はユーザーフレンドリーではないですね。すごく抜きづらいというのは僕も認識していました。ここで焦点になってくるのは、優れたガイドラインを持つアップルがなぜこういうものを作ってしまったのかということですが、小林先生はその理由として

  • ターゲットを若者に絞っている
  • 不自由な体制での利用を考慮していない
  • 幹部の要求

上記を挙げられました。
僕は「幹部の要求」なのかなーと勝手に想像していました。製品は使いやすければ良いというわけではないと思うので、ところどころではデザインを優先する場面もあるでしょうし、アップルに関して言えばその傾向が強い気がしています。
そして、使いやすい製品を作る場合に必要なプロセスとして、

  • 合意形成のプロセスを徹底する
  • ターゲットユーザーを明確にして合意を形成しておく

といったことが必要になってくるということです。

ストーリーテリングワークショップ|酒井洋平さん
そして、ワークショップに入っていきます。UX-TOKYOで「ユーザーエクスペリエンスのためのストーリーテリング」の翻訳に関わられた酒井さんが進めてくださいます。

個人的にこのワークショップは非常に楽しみにしていました。僕は立場上、所属する会社の社長に稟議を通すこと、部下の指導をしなければいけないこと、またお客様に向けてプレゼンをしなければいけないことが多々あります。そんなとき、このストーリーテリングの技術を織り交ぜることで説得力が増すのではないかと思っていたからです。

しかし以前、アクアリングの平野さんが主催された「ユーザーエクスペリエンスのためのストーリーテリング」読書会に参加しましたが、正直あまりわかりませんでした。実はこの本は翻訳本ということと内容が抽象的なことで、ちょっと理解がしづらいところがあります。物事をストーリーにして話すと伝わるのは非常にわかります。しかし、そのストーリーをどうやって伝わるものにするのかというところがハラオチできないでいたのです。おそらくジャンルとしてもまだまだ始まったばかりのものということもあるのでしょう。いまいちメソッドが確立されていないように思います。

さて本題のワークショップについてです。今回は「飲み会の設定」「旅行の計画」「ソーシャル・ネットワーク」の3つからそれぞれのチームでお題を選び、ストーリーを組み立ていきます。

僕らのチームは「飲み会の設定」としました。飲み会の設定を通じて困ったことを抽出し、それを解決するアイデアを簡単にストーリーに組み込んで発表するといった感じです。

まず、インタビューで「ストーリーの断片(アネクドート)」を集めます。やってみて思ったのですが、このインタビューがやっぱり難しいです。今回もいわゆる「半構造化インタビュー」なのですが、聞き出したいことを明確にしていないと結局肝心なことを聞き出せないまま終わってしまいがちです。で、あとから振り返って「アレも聞けてない、これも聞けてない」となります。こうなってしまうと、後のステップである「ストーリーの断片」を選ぶときに、非常に難しくなってしまうと思います。

次にインタビューした内容を若干ストーリー仕立てにして発表していきます。そこにはインタビューから抽出した様々な「ストーリーの断片」が内包されていますので、それをみんなでポストイットに書き出して行きます。そして、ポストイットに書きだした「ストーリーの断片」をストーリーモデルのひとつである「英雄構造」に落としこんで行きます。
「英雄構造」とは、
【日常の世界】
【冒険へのきっかけ】
【はじまりと試練】
【冒険の世界】
【目的の達成】
【日常世界への帰還】
という流れの、ストーリー作りのフレームワークのようなものです。

ポストイットに書きだして英雄構造にあてはめた「ストーリーの断片」を選ぶ作業に入っていきます。僕らのチームは、まず似たような「困ったこと」をグルーピングして行きました。同じような内容のものをそぎ落とし、近い内容のものを近くに置いて、それぞれのストーリーを俯瞰しました。基本線はそれぞれが発表したストーリーなのですが、インタビューの不備から辻褄が合わなかったところを他のストーリーから補ったりもしました。

そうして英雄構造における
【日常の世界】
【冒険へのきっかけ】
【はじまりと試練】
【冒険の世界】
までができたので、今度は
【冒険の世界】
【目的の達成】
【日常世界への帰還】
を作っていきます。

【冒険の世界】とは、飲み会を設定するにあたっての障害となるようなものを、いかにして克服して目的にたどり着くかを描いていくものです。で、この【冒険の世界】を描くために不可欠なのは【目的の達成】というゴールの設定。主人公はどうなりたいのか、ということを最初に決めておかないと、ストーリーもヘッタクレもありません。
僕らのチームのゴールは「飲み会の開催」としました(当たり前だと思われると思いますが、これが大切だと思います)。

飲み会を無事開催するために、どうやって様々な「困ったこと」を乗り越えていくか。今度は個人作業でアイデアを練り、「困ったこと」を解決するサービスなり製品なりを考えていきます。ここは正直思いつきのアイデアレベルで進めます。アイデアを出すことが目的のワークショップではなく、ストーリーテリングをひと通り経験するワークショップですので。

で、なんとかひねり出したアイデアを加えた、「英雄構造」のストーリーをチーム内で発表していきます。それぞれなかなか面白いアイデアも出て、ストーリーも破綻していないものが発表されました。そして、チームから一人選んで全チームの前で発表し、酒井さんに講評してもらってワークショップは終了となります。

最後の発表の時に、サービスを軸にした、いわゆる「プレゼン調」に発表する方がいらっしゃったのですが、ストーリーとして語らなかった理由は何なのかが気になりました。どちらが正しいとかそういう問題ではないと思いますが、やはり主人公を置いたストーリーとして語っていただいたほうが感情も移入できるでしょうし、情景も浮かぶような気がしていました。

今回のワークショップでは、ストーリーの作り方が少しはわかったような気がしました。しかしインタビューはなかなか提案段階では取り入れるのは難しいかもしれないとも思います。そこで、酒井さんが仰っていましたが、WEBサービスのユーザーフォーラムなんかで「困った話」をかき集めるだけでも「アネクドート」にはなり得ると思いますので、今後のプレゼンから少しずつ取り入れていきたいと思っています。



2012年6月26日火曜日

次世代コミュニケーションプランニング


何人かの人が良いと言っていたので、読みました。

最終的には「コンテクスト」を理解し、そのなかに埋め込むにはどういったコミュニケーションの方法があるかを考えましょう、といった内容に落としこんでいます。その中で使う「メディア」に対する考え方や「クチコミ」「ソーシャル・ネットワーク」を使うには、といったことが書いてあります。

消費者をよく見る。彼らはどういったコンテクストの中で生活しているのかを理解する。その上でその商品がもっとも機能する場面を考え、演出し、それをストーリーにする。ということを俯瞰して捉え、全体像を描ける。コミュニケーションプランナーとは、そういった人材ではないでしょうか。

とかく最近はコンテクストの重要性がいたるところで言われています。これはどんな事を企画するときにも必要なな考え方だと思います。

  • 対象となる人や組織のことをしっかりと理解し、適した形で商品やサービスを企画する。
  • どのように利用するかを、その利用前後や累積的な経験まで含めて考える。
  • その中で広告の果たす役割がどこにあるのかを考えて最適な広告手法を検討し、クリエイティブを作り出す。
  • 利用後の消費者の気持ちも考え、その商品やサービスのことをどう捉えるか、どのような感情を抱くのか、その結果として商品やサービスの評判をよく出来るように設計する。

合わせて考えたいのが、コンテクストは対象となる人や組織にだけあるのではなくて、社会の状況や商品ジャンル、ブランドや商品そのものにもコンテクストは存在するので、これらのコンテクストを組み合わせて企画することが必要となってきます。

こう考えると、これを出来る人ってものすごく有能な人ですね。今の僕なんかにはとてもじゃないけど難しい。だけど、ここを考えて行かないと僕が所属しているようないわゆる「コモディティ」な業態をとっている中小零細は価格競争に陥り、先細りしていきますね。実際価格面を評価されてお仕事を頂くことも多いです。

で、思うのは何も自社内ですべてを賄う必要なんて無くて、足りないピースは外に求めれば良いのではないでしょうか。

先日もある方からお誘いを受けてあるプロジェクトに参加しました。そこではそのプロジェクトを提案するに至るまでを担当したプランナー(もちろん企画にも参加)、企画とクリエイティブに指示を出すディレクター、そして主にビジュアル面で手を動かす役割を担った僕(僕に求められたのは突貫力と割と自由のきく立場。)この3人で提案までしてきました。残念ながら結果は失注となってしまい、僕らの短い期間のプロジェクトがその後も続くことは無かったのですが、ひとつの形として非常に面白かったです。

こうしたことは僕の周りではまだそれほど行われていないのですが、広告の企画というものが非常に広い範囲で設計しなければいけなくなっている昨今、超絶有能な人材がいない場合は持っているスキルを活かして複数人がプロジェクト毎に集まり、終わったら解散するといった仕事の仕方も有りなのではないかと思っています。これがフリーランス同士ではなく企業同士でできれば面白くなるだろうな、という感想を持ちました。

さて、大きく脱線しましたが話を本に戻します。このエントリーに頻出する「コンテクスト」というのは「文脈」と訳されます。文脈とは、そのモノやコトが持っている背景を理解していないと通じないような内容のことです。例えば、


「これが、悪い「は」ですか?」


という文があったとします。この「は」は「葉」なのか「刃」なのか「歯」なのか分かりませんが、前後に文章があれば例えそれがひらがなで書かれていたとしても理解できます。


「はい、今この木から摘み取りました。
「これが、悪い「は」です?」
「そうです。これが悪い「は」です。」

前後の文章があると、「木から摘み取りました」ということばから「は」が「葉」であることが想像できます。


この「コンテクスト」の理解なしに、広告の対象となる消費者を定めたり、定めた対象に響く広告を企画することはできないと言われています。従来のコンテクストを理解し、新しいコンテクストをプランニングする。これこそがコミュニケーションを生み出す「もと」となってくるのではないでしょうか。

こういった「もと」の段階を経て「ストーリー」や「シナリオ」を設計し、それに合わせた広告を企画する。こういう事をやらないと「狙って広告を成功させる」ことが難しいように感じます。

また、本では広告は認知だけを担っているのではなく、購入後や使用後に良い印象を与えるためにも役立つことが出来ると説いています。先述した「利用前後や累積的な経験まで含めて設計する」ことが重要になっているということですよね。さらに「コミュニケーションのプランニングは必ずしもAttentionから始まるものではない。」とも書いています。

最後に、自分メモ用も兼ねて、本に書いてある「コンテクストプランナー」と「コミュニケーションプランナー」にどんな職能が必要かを列挙してまとめとしたいと思います。

  • その企業・ブランド・商品を取り巻くコンテクストはどう構成されているか
  • その商品が売れる理由をどう考えるか
  • その商品(やカテゴリー)に関する現在のパーセプションはどうなっているか。そこに解決すべき課題はあるか。
  • その企業・商品が過去に培ってきたコミュニケーション上の資産は何か
  • ターゲットとする消費者層のメディア状況はどうなっているか。必要であればどのようなメディア/広告枠を開発すべきか
  • その商品が最も「機能する」場所・シーンをどのように考え、演出できるか
  • PR上・広告上のメッセージ発信のルール/ストーリーをどのように作るか
  • それらの全体構造をどのように描くか
  • それらを実現するためのスタッフを外部・内部含めて集めてこられるか

以上のことを考え、実行する職能が必要となってくる