先日友人の主催するセミナー&WS、「
スマートデバイスにおけるUX/UIデザインワークショップ in名古屋」に参加してきました。
場所は、今をときめく地元企業の
Aチームさん。とても素敵なオフィスで、びっくりしました。
そして講師は
株式会社ワンパクの阿部さん。阿部さんによるセミナー&WS参加は二度目で、前回は昨年行われた
「コミュニケーションデザイン」に関するワークショップでした。その時の資料は今でも何らかの企画をする時に目を通させて頂いてます。
さて、今回のお題は「スマートデバイスにおけるUX/UIデザイン」。UX(ユーザーエクスペリエンス)とUI(ユーザーインターフェイス)の関係性などはツイッター上での議論も散見します。非常に抽象的な部分が多いトピックなのがその原因かと思いますが、僕自身は色々な方の意見やセミナー参加などから結構すっきりと(自分なりに)理解できていて、それ自体よりはその設計方法に興味が移っています。
UXD(ユーザーエクスペリエンスデザイン)となるとこれホントに難しい気がします。そもそもUXDとは、顧客のUXを追求しているだけでは全然ダメだと思っていて、大前提として企業に利益をもたらさなければいけないわけです。要はビジネスニーズありきですよね。しかも僕らは何でも出来る巨大企業に所属してるわけでも無いですし、それぞれの得意分野がある中小零細企業に所属しているわけです(※仲間のなかには比較的大きな企業に勤めている方ももちろんいますが)。そんな僕らにも出来るUXDのやり方ってものがもう少し整理できればいいなと思っていました。
人が何かの気持ちを持って、何らかの行動を起こし、その結果様々な体験をする。それは瞬間瞬間のものもあれば、その瞬間を累積したものや、行動に移す手前の気持ちや、数年後に何かのキッカケで振り返ることもある。これらがUXだと思います。これを例えばWEBや広告を生業としている受託企業の僕らに設計できるのでしょうか。もうすでにそれはWEB制作会社だったりの仕事の範疇では無いのでは、と。
やはり(当たり前かもしれませんが)すべての発信は依頼主の企業が主体となってして行かなければいけない気がします。要は依頼主が自社製品やサービスによる良いUXを顧客に提供していくことを決める、ということです。そこに、広い知識を持ちつつ(WEB制作だったりの)どこかのパートに特化した我々のような企業がサポートする形でコミットしていく。
で、実は僕は、そんなこと(UXD)が出来る企業になる必要があるのかどうか、という視点も必要な気がします。もちろん知識や経験としては持っておくべきだと思いますが、「全体のことは他の企業にお任せして、クリエイティブのところで貢献します」とか、全然有りじゃないでしょうか。
UXについての知識自体は共通言語として共有しつつ、UXDはそれが得意な会社がやればよいのでは?というのが今のところの感想です。そうしないと特に地方においては、すべての企業がすべての能力を備えようとする。またしばらくすると考え方が変わるかもしれませんが、いまはそんな感じで考えています。
その他アフォーダンスや対応づけのお話もしていただきました。これらは阿部さんからの資料の提供を待って、再度まとめたいと思います。
ワークショップについて
ここからはワークショップについてまとめます。今回のワークショップは某有名音楽教室(子供向け)を題材として、その購入検討者(新規・既存)にWEBを通じてどのような体験を提供し、最終的に契約まで持っていけるかというものです。
こういったワークショップで大切なのは「下手でもいいから最後までやる」だと思いますので、品質はそれほど優先せず、経験することを大切に進めました。
ペルソナ作成
まず、対象となるひとのモデルを共有するため、ペルソナをつくります。今回はペルソナ作成は主目的ではないので、割りとザックリ妄想混じり、メンバーの友人や家族を思い浮かべながら意見を出し合い、それを二人のペルソナに落としこんで行きました。
ここで思ったのが、ペルソナ作成が主目的ではないワークショップにおいては、主催者側がペルソナを提供するというのも有りなのではないかということです。僕自身はHCDセミナーでペルソナ作成を経験していますが、とてもじゃないですが普段の業務でペルソナなんて作れないなーというのが実感です(※妄想ペルソナは除く。というかそれはペルソナではないですよね)。まずはしっかりとした数のインタビューやログの解析をして、それを適切な手順を踏んで作っていくものだと思うのです。もしそうでない、簡単にそれなりの精度のペルソナを作る方法があればぜひ習得したいです。
また、ペルソナ作成が主目的ではないワークショップにおいて参加者がペルソナを作ることに意味があるのだとすれば、それはそこを理解した上で取り組みたいです。
利用シーン・ユーザーシナリオ作成
次にそのペルソナがWEBサイトを利用するシーンと、そのシーンで想定できるシナリオを作成します。ここは模造紙を壁に貼る、いつものブレスト方法を使いました。やはりHCDセミナー受講者を中心として「これが一番やりやすい」というのが浸透してます。
まずシーンをチームで検討。「こんなのもあるんじゃない?」とか言いつつペタペタとポストイットに書いて貼っていきます。今回は「家で」「移動中」「外出先」としました。
次にシーンに対するシナリオを作っていきます。ここでも細かい事象レベルに分けて考えて行きました。「テレビを見てる」「電話中」「PCに向かってる」などの次に「○○のような番組を見て」「○○と電話をしていて」「○○のサイトを見ていて」という感じでどんどん進めていき、さらにそこにユーザーの感情を加えていきます。
ユーザーニーズ洗い出し
ある程度シナリオが出揃ったら、何らかの感情を持ったユーザーが求めるコトを書きだしていきます。「最寄りの教室が知りたい」「適したコースを知りたい」「OB・OGがどんな人なのか知りたい」などです。
コンテンツ・機能の洗い出し
そして上記のニーズを満たせる、WEBコンテンツを検討していきます。今回は時間もそれほどなかったので絞って考えてることにしました。その絞ったニーズとは「ウチの子供に向いてるコースは何?」「教室に通うと将来どんな人に成長するの?」というものです。
それらに対して、「こんなコンテンツやシカケを作ったらニーズを満たせて、コンバージョンにつながるんじゃないか?」というものをチームで相談してアイデアを出し合いました。
コンセプトダイアグラム作成
次に、ユーザーの気持ちや行動を一枚の紙に落としこんで「コンセプトダイアグラム」を作成しました。
これはエクスペリエンスマップに似た機能を持っていると思います。他の参加者の方が仰っていましたが、エクスペリエンスマップは作るの大変だし、WEBでどうこうというよりももっと大きな動きとして考えないと使えないと思う、ということでした。
その点、この「コンセプトダイアグラム」はもう少し小さいスケール感でも使えるのではないかと思いました。ユーザーの気持ちの動きを含めて適切にコンテンツを提供することで、企業の目的である「契約」につなげていく一連の動きを表現できたのでは無いかと思います(何度も言いますが、クオリティは問いませんw)。
ただ、あとから振り返るともう少し前後の気持ちから拾い上げたほうが良かった気がしています。サイトに来る前の気持ちから、契約後の気持ちまでを描いていくのがUXDではないのかと思いますので。
ペーパープロトタイプ作成
今回は時間が無かったのでここは割愛しました。ですので、実はUIに関してはあまり触れることができませんでしたね。しかし、スマートフォンのようなデバイスのデザインに関しては書籍も沢山出ていますし、WEB上にも情報が沢山あるので、それ程重要ではないと思っていました。
相互評価・観察
最後に、全員で各チームの模造紙の前に移動して、プレゼンテーションです。僕らのチームは、久々に僕がプレゼンしました。
僕個人の感想として、すべての成果物に対して説明を細かくしても聞いてもらえないと思ってますので、細かい部分は相当端折り、それより企画のキモの部分を感情を込めて説明することを意識しました。まあそれなりの発表が出来たのではないかと思っています。
それとあとから少しだけ後悔したのですが、プレゼンに「ストーリーテリング」の手法をエッセンスだけでも取り入れればよかったと思っています。こんなチャンス無かったですよね。。。残念。
僕は最近色々なワークショップに参加していますが、ワークショップの良い所は短時間でお手軽に講師の持っている経験をエッセンスお取り込むことが出来るというところだと思っています。品質は、こんな短時間でいいものができるわけがないです。ただ、いいものにしようとするプロセスは非常に重要だと持っています。でも優先すべきは最後までやり切ることですよね。そこを意識しています。だから実は「やりたいようにやって下さい」は僕的には必要ではなくて、今回であれば阿部さんの「僕はこうやっているから、今回はこのやり方でやりましょう」という方が良かったと思います。それがとても知りたかったです(エッセンスだけでも)。それをいかに自分のやり方にしていくかは参加者次第だと思いますし。
それに加えて、ブレスト/ファシリテーション/プレゼンテーションの練習だと思っています。本当は毎回プレゼンしたいです。だけど、普段はちょっと遠慮しています。
懇親会→二次会→三次会
すべてのチームの発表が終わって、懇親会です。この懇親会がスゴく良かったです。実は参加者の中に
株式会社ツルカメの代表:森田さんが(なんと!)受講者として参加されていたのですが、今回の講師の阿部さんと熱い話もありましたし、懇親会での前半は阿部さんとしっかりお話ができて、いろいろヒントを頂けました。
それにしても阿部さんも僕と2つしか歳が違わないんですよね。少しでも追いつけるようにこれからも修行するしか無いですね。。。頑張ります。