2012年5月28日月曜日
ビジネスモデル・ジェネレーション (勉強会)
5/27、HCDセミナー翌日に浅野先生のご厚意でビジネスモデル・ジェネレーションの勉強会を開くことが出来ました。
今回は主催(と言っても有志の勉強会なのでほとんど何もしてませんが。。。)させていただいて、やはり身につけるなら自分で動くに限る、というのを思い知りました。
機会を無駄にしたくないという意識がかなり強まるので、事前の予習に身が入ります。僕の場合は本を二度ほど読んだ後、自分の勤めている会社の分析をひとりでやってみました。このひとりでやった分析が、「あ、ここわんかんないな。」とか「ここにこういう要素を加えると、こっちまで影響が出るよね」みたいな、ビジネスモデル・キャンバスを使う感覚がつかめて、すごく役に立ちました。
このビジネスモデル・キャンバスというものはすごく面白くて、ある企業(個人でもなんでも)の既存のビジネスの分析にも使えますし、その後の展開を検討するときにも使えます。どうして使えるか。それは「可視化」が非常に容易にでき、しかもその共通言語化がすごく簡単にできる事です。
このキャンバスを使うと、おそらく経営者から若手社員まで、同じ土俵で今後のビジネスについて議論することが出来るのではないでしょうか。実際今回の勉強会でも、活発な議論がなされたと思います。
ここでも役に立ったのが、「模造紙」と「ポストイット」と「プロッキー」。この3つがあれば、ブレストは簡単に活発なものにできる気がします(ある程度の経験は必要かもしれませんが)。浅野先生もおっしゃってましたが、ビジネスモデルの話は、机に座って手元のメモや資料を見ながら話すと、まとまりにくいですね。それを可視化すること、しかもポストイットを使って自由に貼ったりはがしたりできることが、ものすごく色々なことを気づかせてくれて、しかも「そろそろ収束させないと」となった時にも、それがかなり簡単にできます。
さて、今回の勉強会は、セミナー形式ではないのでワークショップがメインとなります。ワークショップで何をするかというと、お題の企業を決めて、キャンバスを使って分析し、その後その企業をさらに発展させる、収益が見込めそうなビジネスモデルを考えるというものです。
レッスン1|分析
お題になっていただいた企業は、参加していただいた大和さん、藤田さんが勤めて(?)いらっしゃるグランフェアズさんです。グランフェアズさんは非常にユニークなかたちで事業を行なっていて、今回参加された方の所属する企業の中では、お題に最も適していたのではないでしょうか。
まずは、グランフェアズさんの現在のビジネスモデルを分析していきます。分析方法は、もうこれでもかというくらいに、参加者がグランフェアズさんの事業について根掘り葉掘り聞き出し、それをなるべく細かくポストイットに書きだして、ビジネスモデルキャンバスに貼っていきます。大和さんはグランフェアズさんを経営されていますので、ヒアリングするにはこれ以上ない方でした。
このビジネスモデルキャンバスの構成要素は以下のとおりです。
・顧客セグメント
・価値提案
・顧客との関係
・チャネル
・主な活動
・主なリソース
・主なパートナー
・収益
・コスト
以上9つのブロックに分かれていて、それをどんどん埋めていきます。そうすると面白いくらいにわかりやすい形でビジネスモデルが可視化出来てしまいます。
そして、グランフェアズさんのビジネスについて参加者全員がある程度理解する、という段階まで進めて、一旦食事に出ました。
レッスン2|応用
食事から戻って、第二部です。第二部では、グランフェアズさんのビジネスをさらに発展させるべく参加者でブレストし、可視化していきます。
僕らのチームは、大和さんが近くにいて下さったので、まず「今後の展開として考えていることはありますか?」という質問をしました。すると「○○にサービスを提供したい」という答えを返して頂けましたので、そこを軸に進めて行きました。この、顧客から考えるということが非常に大切な様で、やはり顧客から出発しないと技術的シーズ主導になってしまう可能性が高いように思います。もちろんニーズばかりではダメですが。
さて、この顧客に対してこのようなサービスを提供することを検討している、という情報までいただけたので、それをどうやったら収益化できるのかということを考えていきます。サービスを提供するために必要なリソースはどうなのか、その中でパートナーに任せるべき部分はどこなのか。またかかってくるコストはどうなのか。そしてそのサービスをどうやって顧客に届け、どんな関係を築いていくのか。そのサービスを提供するための、企業としての主要な活動は何なのか。それによって得られる収益とかかるコストはどんなものがあるのか。
これらを可視化できる事で、全員での議論がすごく活発になります。また、「キャンバスにポスト・イットを貼る」という行為は、自分の持っている意見を誰のものでもない意見に変えていしまいます。これによって「発言力の強い人(経営者等)」の意見でもフラットに扱うことが出来るようになります。
こうして参加者全員の意見を吸い上げつつ、集約させていき、なんとか面白いビジネスモデルを作ることが出来ました。もちろんたかだか数時間で考えたものなので、実際にそれで事業になるかというと難しいところではありますが、確かにひとつの「ネタ」にはなるのではないでしょうか。
そして、この応用編ワークショップで僕が一番大切だと思っていたのは、その事業をグランフェアズさんが行う意味を見出すということです。それは、現在持っているビジネスモデルを新しいビジネスにどう利用するか、ということです。そこがなければ、本に出てくる「アンバンドルビジネスモデル」化したほうがいいと思っていました。
また、もう一つのチームでは新しいビジネスモデルではなく、既存のビジネスモデルをさらに強化する方針で議論を進めたようで、プレゼンしてもらった内容にも「あ、これなら可能性あるよね」というものが出来てきていました。
まとめ
今回の勉強会は、僕的には非常に得るものが多かったです。それはまずキャンバスの使い方をある程度習得できたこと。そして、事業のことを真剣に考えている仲間を確認できたこと。さらに、2日続けてブレストを含むワークショップを行ったことで、ブレストの技術が少しでも上がっていると実感できたこと。加えて、新事業を考えるときには、ゼロから始めるのか、今持っているリソースを活かすのかを検討する必要があるということです。
ビジネスモデル・キャンバスは「コレさえ使えばバッチリだね」というようなものではない(数字の要素が皆無)ですが、議論のベースにすることができる、本当に面白いものでした。今後も機会があればいろんなビジネスモデルを分析し、さらにそのビジネスモデルを発展させることを検討する、という練習をして、自分の中のビジネスモデル・パターンを増やしていきたいです。それを、自社(僕個人)のビジネスモデルに応用し、収益化できるようなビジネスマンになりたいと思います。
最後に、朝からお付き合い頂き、スライドまで準備して下さった浅野先生、ありがとうございました。このお礼はどう表して良いかわからないほど、感謝しています。本当にありがとうございました。
HCD-Netセミナーin名古屋2012 (第2回) |オブザベーション
5/26、今年のHCDセミナーの第二回目が開催されました。今回はオブザベーション。オブザベーションとは「観察」のことで「ユーザーをよく見ましょう」という多くの仕事の基本となる部分を学びます。行動観察という手法も少し前にTV等で取り上げられていましたが、とにかくお客さんをしっかり見ると沢山の情報を得られるといったものですね。
このオブザベーションに関するセミナーは昨年も受講しました。ただ、その時はHCDに関するセミナーへの参加が初めてだったこともあって、とにかく右も左もわからず、どこにゴールを設定していいかすらわからなかったのですが、今年は何をやるかわかっていた(忘れてた部分も多かったですが。。)ので、すごく余裕を持って望めました。
やはりこのセミナーは続けて何度か受講しないと意味が無いように思います。とくに1年目は存在を知るくらいが精一杯かと。その後、どうやって勉強するかがまた問題になってきますが、とにかく1度出たからといって理解できるような類のものではなく、少しずつ理解を深めてHCDプロセスを業務に「少しでも」取り入れるのを「普通」にすることが、地方にいて専門教育を受けていない僕にとっては、ひとつの到達点なのかもしれないと思っています。
業務に取り入れづらいものをどうしてお金を払ってまで受講しているのかというと、これ今年になってわかったのですが、いろんな本を読んだりするとHCDのセミナーで触れたことが結構出てくるんです。そこの理解力が飛躍的に向上しているのは感じます。
それと、普段複数人でブレストすることが少ない僕にとっては、その練習にもなっています。ブレストって意外と難しくて、慣れないと議論が活発になってこなかったりするんですが、このセミナーに出ている人にとっては「壁に向かう」「ポストイットを使う」ということが当たり前になっています。これは相当大きい。
これらを社内に持ち込むにはまたもう一つ超えなきゃいけない壁があるとは思いますが、それは少しずつ克服していこうと思います。
HCD概論(2)|小林先生
まずは、愛知工業大学の小林先生が「HCDってなによ」ってことについてお話下さいます。今回はユーザビリティ評価について。ユーザビリティ評価には色々あって、その中でも観察法についてお教え頂きました。ユーザビリティラボについてやテストの種類について、高速道路SAのゴミ箱の例、観察から分かることがたくさんあるよ、といった内容をお話下さいました。
以前業務で、WEBサイト制作時に観察法っぽいことを取り入れたのですが、ユーザーは制作者の思ったとおりには全然使ってくれなくて、びっくりしたことがありました。やはり使うモノを作る場合、ユーザーテストはどこかで取り入れないといけないと思います。僕の場合はWEBやPCに強くない人を選んで、公開前のサイトを使ってもらう程度ですが、やらない時と比べると、それだけでも十分効果が得られます。時には家族にお願いしたりもします。これをやって画面設計を変えることもありますし、納期の問題からラベリングの変更でなんとかする、ということもありました。
オブザベーションワークショップ|浅野先生
そして、オブザベーションのワークショプに入っていきます。今回は「カップ焼きそば」を使います。昨年はゼリーを使いました。
何をするかというと、カップ焼きそばを開けるところから食べ終わってゴミとして捨てるところまでを細かく観察して、問題点やそれに対する改善案を抽出していき、最終的にパッケージを改良するアイデアを作る、ということをします。
このカップ焼きそば、名古屋ではそんなに見かけないメーカーのもので、普段使い慣れている円形のものと比べると、問題点が満載。そんなことは普段は意識しないので、どこがどうとかはわからないのですが、オブザベーションの手法を使うことによってどこが問題なのかということがはっきりとあぶり出されてきます。
実際に焼きそばをたべるところを観察されるのは3人。これは業務で行うには少ない数字だと思いますが、あくまでワークショップなのでこれでも時間はギリギリです。
僕も食べた一人なのですが、大切なのは焼きそばを作って食べる間、思っていることをすべて口にすることです。これを「発話」というのですが、この「発話」を拾っていくのがものすごく大切です。発話の中にこそ改善のヒントが隠されています。加えて、今回はUXマップを作成しました。
時系列に並べた、焼きそばを食べる際の「作業ステップ」「発話」それらから推察される「パッケージの問題点」「UXマップの起伏」から改善点を絞り、そこに集中して改善案を考えます。改善するポイントを絞ることも大切で、これをやらないと日本人の大好きな「足し算」のデザインになってしまうとのこと。たしかにあれもこれも改善するよりは、本当に問題となるところにフォーカスして考えたほうが、よくなりますよね。
また、ユーザーは「楽に」できることを求めているわけではないということも教えて頂きました。要は何でも「楽に」「簡単に」できる事ばかりを考えてしまうと、良いUXは提供できない可能性があるということだと思います。
僕達のチームは、UXマップが3人とも落ち込んでいる「3分待つ」「食べている最中」に絞って改善案を検討して行きました。ここで気づいたのですが、「主題はパッケージの改善」なのに、麺が1分で出来ればいいとか、そういう方向に話がいってしまいがちということです。しかし、2つの課題に対してパッケージの改善で何ができるかを考えないといけないので、そちらにチームの思考が行ってしまいそうになった時に、軌道修正することを心がけていました。
「3分待つ」ことがなぜストレスなのかを観察の結果から推察すると、とにかく手持ち無沙汰になるんですね。今回は他の情報(テレビや本など暇つぶしの道具)に接することが出来ない状況なので特殊ですが「ある一定の状況下」というのも大切な条件ですので、今回はこれでよいのだと思います。
また、なぜ「食べている最中」にUXが落ち込むかというと、「このまま食べていくと「かやく」が残るね。。。。」という思考が働くことが、発話から分かります。麺とかやくを上手に混ぜながら食べられないのです。
この二点を改善するために考えたことは以下のとおりです。
・「3分待つ」:フタに面白いコンテンツを掲載する。特に3人とも携帯電話(スマホ)で時間を計っていたので、スマホを利用したコンテンツが良いのではないかと話していました。
・「食べている最中」:まず手で持ちやすいように、もっと細い形状にしようということと、容器内側の底面の形状を球面に近い形にしようというアイデアを出しました。要はかやくと麺を混ぜやすい形状にしようということです。
この2つのアイデア、スゴくありきたりだと思いますが、ワークショップではこれでいいと思います。良いアイデアを出すワークショップではなく、オブザベーションの手法を通じて、実はHCDのプロセスをざざっとひと通り経験することが目的のワークショップですし、浅野先生が仰っていたのですが、とにかく終わらせることが大切だということです。
このあと、3人へのインタビューから導き出した簡単なペルソナを造り、パッケージの改善案とその利用状況を示した4コマ漫画を作成して、プレゼンです。
昨年と比べて周囲が見えていたのと、チームのメンバーにも恵まれたこともあって、スゴく楽しんで出来ました。とにかくワークショップは楽しいです。楽しんだだけで終わらせてはいけないのですが、楽しくないと学ぶ気も失せてしまうので、よしとすることにします。
次回はストーリーテリングについてのワークショップです。ものすごく興味がある分野なので、非常に楽しみにしています。
2012年5月13日日曜日
HCD DiG #3|インタビュー&評価グリッド法
5/12(土)、HCD DiG三回目「インタビュー&評価グリッド法」に参加してきました。
実は前回も「インタビュー&評価グリッド法」をやりました。しかし振り返ってみるとどうも調子がよろしくない結果に。それを運営メンバーで共有して、再度やりましょうということになりました。(僕は今回の運営にはほとんど参加できませんでした。)
前回のHCD DiGに対する水野さんのブログ
HCD DiG#02を終えて。ペルソナ・シナリオ法&インタビュー&評価グリッド法の気づき
ヒアリング力を身につける
結論から言うと、やはりわからないところを共有して再度やり直せたり、時間をかけられたりするのはこういう集まりでしか出来ないと思うので、とても有意義な時間でした。
セミナーでは再挑戦は次年度になってしまう上に開催される保証もないので、こういう勉強会で振り返るのってとても有効な気がします。浅野先生からは「ちゃんとした人に見てもらいなさい」等、色々アドバイスを頂いておりますので、今後はそちらも視野に入れないといけません。
相談タイム
まずは参加者が二人一組となって、「HCDの手法を業務に取り入れたか、取り入れた場合どのような状況でどのように取り入れたか」を話します。僕は色々な出来事が重なって15分ほど遅刻したので最後の発表を聞いただけですが、積極的に取り入れていたり、自分は必要性を感じていても社内に浸透していないために導入できていない等、それぞれの現状を聞くことが出来てよかったです。自分に置き換えてみると、意識はしているもののまだまだ導入できているとは言い難いです。
HCD-Netセミナーin名古屋2012(第1回)の報告
運営の山田さんから「HCD-Netセミナーin名古屋2012」に参加しての報告をして頂きました。僕もブログに書きましたが、同じような感想を持たれていたようです。しかし山田さんの凄いところは必ずドキュメント化する癖が付いていることですね。素晴らしいです。見習います。
僕のブログ
HCD-Net セミナーin名古屋 2012(第1回)
山田さんのブログ
HCD-Net セミナーin 名古屋 2012(第1回)に参加して
ワークショップ
今回のワークショップは「Web制作者ペルソナが利用するWebサービス」を開発するのための、ユーザーペルソナ作成にあたってのものです。
- インタビュー
- 評価グリッド法
- ペルソナ作成
インタビュー
前回の失敗を受けて、再挑戦です。
インタビューを始める前に、今回のインタビューで気をつけるべき点を梶田さんと水野さんから頂きました。
- インタビューが何のためのものかをしっかり意識する
- 「なぜ?なぜ?」をくりかえしていくこと
- ラダーアップ・ダウンを繰り返すことを意識する
何にせよ、「それはどうしてですか?どういうことですか?」と繰り返すことが大切なのは変わらないですね。
評価グリッド法
評価グリッド法を使ってペルソナを作っていきます。が、ここで問題が(その時はあれ?と思いながらも、進めていってしまいました)。振り返って後から考えると、ラダーリングをする際にペルソナ作成のためなのか、WEBサービス開発のためなのかがしっかり決められていなかったと感じています。
ペルソナ作成のためだけだったら、もっとWEB制作者としての本質的なところまで掘り下げていくべきだと思うのですが、WEBサービス開発というお題目達成のため、ペルソナ作成に対する材料がしっかり抽出できていないように感じました。ここは運営側でも話をしてみたいと思います。
そんなこんなですが、みんなでなんとかラダーリングをしていき、まとめることが出来ました。
僕的に今回の一番の収穫は、ラダーアップとラダーダウンを行き来する感覚が掴めた気がすることです。最初にセミナーで聞いたとき、言われたことはなんとなく理解できましたが実際やるとなると「?」な感じでした。それが今回「ああ、こういう感じね」というところまで持っていけたことが大きかったです。具体的な事象から本質的要求まで上がっていった後に「それってこっちにもつながってくるよね?」といった感じです。当日話してみんなに「?」な顔をされたのですが、斜めに掘り下げていって、斜めに浮上してくる感じです(やっぱわかんない?)。
勉強会が終わったあとは、今年で最後の名古屋名物ビアガーデン「マイアミ」に行き、参加しなかったメンバーとも合流してワイワイ楽しみました。そんなこともやってるので、興味がある方はご参加下さいませ。
今後について
今後は、今回できたペルソナをもとに、WEBサービスを開発していく工程に入ります。といっても実際に開発するとかではなく、あくまでHCDの手法を学ぶためにそれを題材にしているだけですが。(ほんとにすごいアイデアが出たら作っちゃってもいいかも?)
何にせよ、考え方や手法が身につくまで試行錯誤しながら触れていたいと思います。
当日のツイートまとめ
HCD DiG#3 インタビュー&評価グリッド法まとめ
水野さんのブログ
山田さんのブログ
2012年5月10日木曜日
WCAN2012 Spring
参加した直後に途中まで書いて、怒涛の業務の波に飲み込まれて放置してた記事をエントリーします。
意外とちゃんとしたこと書いてましたw
以下当時の下書きをそのままに。
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先日、WCAN2012 Springに参加してきました。
セッション#1
イーブックデザイナーの仕事 HTML5 ブックデザインの可能性|境祐司さん
ひとつめのセッションでは境祐司さんが電子書籍の最新事情をご紹介して下さいました。
参考になったことが幾つかありましたが、そのなかでもWEBは広告ビジネスモデル、電子書籍はパッケージ販売モデルであるということを仰っていて、今後の自分の考えるビジネスモデルについて改めて考えさせられました。
いま、自分の所属している会社は、「紙やOOHを中心とした広告制作プロダクション」という表現が一番しっくりくると思いますが、基本的には受託ビジネスですので、常に価格と品質の両立を求められます。特にここ数年は景気低迷やお客様の業界の状況を受けて価格面での貢献を強く求められ、競合との値下げ合戦の様相を呈しています。
いまのところ、協力会社さんのおかげもあって何とか戦えていますが、どうしても薄利多売からくる社員へかかる負担増→クオリティの低下→さらに価格面で勝負という負のスパイラルに陥っています。
そこで、やはり目指すべき形のひとつは受託とパッケージ販売の両立。なんだかんだ言っても主力は現状の商売であり、そこで24名の社員を雇用できているわけですので、あまりドラスティックに舵を切りすぎない程度に、新事業部の立ち上げも含めて今後1年ほどで形にしていきたいと思います。
その他にはイーブックデザイナーは既にHTML5とCSS3を駆使してデザインを作り出しているというところ。
WEBに関わる人は「ブラウザ対応があるから」という理由もあって、日常業務でHTML5とCSS3のみでサイトを構築することってそれほど多くないのではないでしょうか。
しかしイーブックデザインの世界ではブラウザ問題にとらわれること無く新技術をどんどん投入してノウハウを蓄積している。これは後輩のエンジニアとも話していたのですが、アプリ製作者もおそらくWEB製作者より技術に対する考え方(というと語弊があるかもしれませんが)が進んでいる部分が多いように思います。受託モデル故の顧客対応に費やしている時間に、彼らは技術と商品(アプリ等)の企画を突き詰めているような気がしました。
イーブックデザインの世界はまだまだ規模は小さいということなので、いますぐにビジネスとして成立するかは疑問ですが、WEBブックやPDF配信していたカタログ等は今後イーブックに置き換わっていく可能性はあると考えています。
2012年5月3日木曜日
HCD-Net セミナーin名古屋 2012(第1回)
今年もHCDのセミナーに出席することにしました。
昨年のセミナーは全5回のうち4回出席。正直なところ、実務の中ですぐさま役に立ったことって少なかったです。先生、すみません。
僕の様な半分畑違いの人間としては、まずは知識の海に溺れることから入って、もがいてもがいて浮上するというパターンが一番しっくりくるので、とにかくやってみましょうという感じで昨年、始めました。で、最近いろんなことを見聞きする上でHCDのセミナーで触れたものが頻出するようになってきて、点と点が線になりつつあるなーと思っています。
同時に他のこと、例えばディレクションだったり、デザインだったり、マーケティングだったり、IA的なことを割りと幅広く少しづつ勉強していく上で、HCDで触れたことっていうのが結構役立つんですよね。というのも、まず出てくる単語が理解できる。これが一番大きいです。言語の習得に似てるのかもしれないですね(日本語以外一切理解できませんが)。むかしDTMを始めた時、僕はPCほとんど触ったことがなくて、今と同じようにまずは知識を詰め込んだんです。そうするとふとした時に他の書籍だったりの理解が飛躍的に向上しているのに気がつくんですよね。
それと、今年は昨年までのHCDプロセスの学習とは一味違うようで、非常に楽しみです。去年のベースがあると理解が深まる気がするので、昨年からの出席者の人に相談してみると良いかもしれませんね。
こんな仲間もいますし。
https://www.facebook.com/hcddig
HCD概論 愛知工業大学 小林先生
昨年までの浅野先生のみの講義だけではなく、今回からHCD-Net主催の勉強会ということで小林先生の講義から始まりました。
まずはHCDって何なの?というところのお話をして頂きました。
人間の基本的認知段階
人間にはどうしても「こう感じてしまう」というものがあり、それに従って設計をすることで人間がより使いやすいものが出来ますよ、と理解しています。
・アナログ時計はなぜ12時間表記なのか
・文字詰めはなぜ一定間隔ではないのか
・展望と退避
・サバンナの優位性
・脅威の検出
・上方照明の先入観
などなど、事例を出していただきながら学びました。
原理・原則段階
このあたりから若干アカデミックになっていきます^^;
方向通則などはなんとなく知っていたのですが、その他書籍を挙げていただきながらの講義は、「当然知ってると思いますが〜」的な感じで進んでいき(それはわざとかも知れない)、ちょっと僕の知識レベルとは乖離がありました。しかしこの日はプロダクトデザインの方も多く出席されており、その方々は当然のものとして理解されてるかもしれませんね。今後の知識を深めていくべき分野かもしれません。
知識・調査段階
まずはユーザーを知らなければならない、という当然のことを教えて下さいます。その当然のことってなかなかできなくて、それで世の中には使いにくものが溢れていると思います。結局製作者側の妄想で作ってしまう。ここを少しだけ、できる事からでも始められれば、もっと使いやすいものに囲まれて暮らせるようになるのでしょう。ただ、僕の勤めているような小さか会社ではなかなか出来ない。できないというより、評価しづらい。という感じでどうしても省かれてしまい、ディレクターやデザイナーの経験則でものづくりをしてしまうのだと思います。
提供・仕様段階
ここではユーザー評価のお話をして下さいました。実際の使用中の評価から、HCDのプロセスに従って改良をしていく、というものです。以前僕が実務で関わった案件でも、公開前にすごく簡単なユーザー評価を実施したら、面白いくらいにタスクを達成できない、ということがありました。このときはラベリングの改善でなんとかしのいだのですが、もう少し早い段階でテストできれば良かったなと感じています。
小林先生のお話は、おそらく今年はじめてHCDに触れる人からすると相当難しかったのではないでしょうか。次回からの展開に注目したいですが、この第一回の講義でリタイアする人が居ないのを願います。
ワークショップ|スパゲッティ・キャンチレバー
続いて、浅野先生の進行でワークショップに入ります。これはスタンフォード大のブートキャンプで行われるものだそうです。20本のスパゲッティ(乾麺)をセロテープとタコ糸2mを駆使して、どれだけ机から水平方向に伸ばしていけるかをチームに分かれて競うものです。
浅野先生のブログからの引用ですが、このWSの目的は
・口頭でのコミュニケーション
・体験を通じたコミュニケーション
・最初のコンセプトを捨てる勇気
だそうです。僕のチームはあれこれ考える前に「とりあえずやってみよう」という感じで始めて、1回目、2回目ともにまずまずの結果が出ました。
ここで学んだことは、とにかくやってみて、作りながら結果を評価し、改善していく。そして二回目のチャンスもあるので、他チームの一回目の結果を参考にしていかにさらに良い結果を出すか、ということです。いわゆるウォーターフォールとアジャイルの違いを実体験で学ばせていただいた感じです。
今回は今年のセミナーの導入ということなので、ウォームアップ的な要素も強かったかもしれませんが、細かいサイクルで仮説検証を繰り返すことの重要さを再認識しました。
HCDにおける視覚化手法について 浅野先生
最後に浅野先生の講義がありました。僕は昨年のHCDセミナーに4回出ている等、何度も先生のお話を聞いているので少しずつ理解が進んできた感じがします。先生がいつも仰るのは、とにかくコトのためのモノという考え方ですよ、ということだと思います。良いUX(ユーザー体験)を提供するために様々なモノ(プロダクト、ソフトウェア、WEBサイト等)が存在するのであって、ユーザーはモノが使いたいのではないということです。
たとえ「iPhoneが欲しい!」という感情があったとしても、それは「iPhoneを使うことによって自分の生活を豊かにしたい!」ということでしか無いということです。つまり、「自分の生活が豊かに」なるのであれば、「iPhone」の部分はなんでもいいわけです。
これは、わかりきったことのようですが、意識していないとモノを作って終わりになってしまうので、今後も気をつけていきたいです。
とにかく「ユーザーはどうなりたいのか」ということに照準を合わせ、その要求に自分のできることで答えてあげられることは無いか?と考え、企画し、作ることが、今後の僕の仕事になると思います。
あと講義では、やはりモバイルは世界を変える可能性を持っているということ、スケッチすることの重要性、一度実際にやってみるということが大切だということを学びました。
それとアクティングアウトの重要性も。このあたりはなかなか腰が重くて出来ないことが多いですが、なんとか業務に取り入れていきたいと思っています。
懇親会はいつもの天狗、その後味仙という鉄板の流れ。まだまだ飲み足りなかった僕らは栄のがブリチキンで飲み直しました。。。
懇親会では浅野先生に「ビジネスモデル・ジェネレーションのWSできませんか?」とお願いしたところ、「じゃあやろうか」と言っていただき、開催の運びとなりました。ごく少数定員での開催となりそうですが、非常に楽しみです。ご参加いただける方は一度僕の方までご連絡下さい。
昨年のセミナーは全5回のうち4回出席。正直なところ、実務の中ですぐさま役に立ったことって少なかったです。先生、すみません。
僕の様な半分畑違いの人間としては、まずは知識の海に溺れることから入って、もがいてもがいて浮上するというパターンが一番しっくりくるので、とにかくやってみましょうという感じで昨年、始めました。で、最近いろんなことを見聞きする上でHCDのセミナーで触れたものが頻出するようになってきて、点と点が線になりつつあるなーと思っています。
同時に他のこと、例えばディレクションだったり、デザインだったり、マーケティングだったり、IA的なことを割りと幅広く少しづつ勉強していく上で、HCDで触れたことっていうのが結構役立つんですよね。というのも、まず出てくる単語が理解できる。これが一番大きいです。言語の習得に似てるのかもしれないですね(日本語以外一切理解できませんが)。むかしDTMを始めた時、僕はPCほとんど触ったことがなくて、今と同じようにまずは知識を詰め込んだんです。そうするとふとした時に他の書籍だったりの理解が飛躍的に向上しているのに気がつくんですよね。
それと、今年は昨年までのHCDプロセスの学習とは一味違うようで、非常に楽しみです。去年のベースがあると理解が深まる気がするので、昨年からの出席者の人に相談してみると良いかもしれませんね。
こんな仲間もいますし。
https://www.facebook.com/hcddig
HCD概論 愛知工業大学 小林先生
昨年までの浅野先生のみの講義だけではなく、今回からHCD-Net主催の勉強会ということで小林先生の講義から始まりました。
まずはHCDって何なの?というところのお話をして頂きました。
人間の基本的認知段階
人間にはどうしても「こう感じてしまう」というものがあり、それに従って設計をすることで人間がより使いやすいものが出来ますよ、と理解しています。
・アナログ時計はなぜ12時間表記なのか
・文字詰めはなぜ一定間隔ではないのか
・展望と退避
・サバンナの優位性
・脅威の検出
・上方照明の先入観
などなど、事例を出していただきながら学びました。
原理・原則段階
このあたりから若干アカデミックになっていきます^^;
方向通則などはなんとなく知っていたのですが、その他書籍を挙げていただきながらの講義は、「当然知ってると思いますが〜」的な感じで進んでいき(それはわざとかも知れない)、ちょっと僕の知識レベルとは乖離がありました。しかしこの日はプロダクトデザインの方も多く出席されており、その方々は当然のものとして理解されてるかもしれませんね。今後の知識を深めていくべき分野かもしれません。
知識・調査段階
まずはユーザーを知らなければならない、という当然のことを教えて下さいます。その当然のことってなかなかできなくて、それで世の中には使いにくものが溢れていると思います。結局製作者側の妄想で作ってしまう。ここを少しだけ、できる事からでも始められれば、もっと使いやすいものに囲まれて暮らせるようになるのでしょう。ただ、僕の勤めているような小さか会社ではなかなか出来ない。できないというより、評価しづらい。という感じでどうしても省かれてしまい、ディレクターやデザイナーの経験則でものづくりをしてしまうのだと思います。
提供・仕様段階
ここではユーザー評価のお話をして下さいました。実際の使用中の評価から、HCDのプロセスに従って改良をしていく、というものです。以前僕が実務で関わった案件でも、公開前にすごく簡単なユーザー評価を実施したら、面白いくらいにタスクを達成できない、ということがありました。このときはラベリングの改善でなんとかしのいだのですが、もう少し早い段階でテストできれば良かったなと感じています。
小林先生のお話は、おそらく今年はじめてHCDに触れる人からすると相当難しかったのではないでしょうか。次回からの展開に注目したいですが、この第一回の講義でリタイアする人が居ないのを願います。
ワークショップ|スパゲッティ・キャンチレバー
続いて、浅野先生の進行でワークショップに入ります。これはスタンフォード大のブートキャンプで行われるものだそうです。20本のスパゲッティ(乾麺)をセロテープとタコ糸2mを駆使して、どれだけ机から水平方向に伸ばしていけるかをチームに分かれて競うものです。
浅野先生のブログからの引用ですが、このWSの目的は
・口頭でのコミュニケーション
・体験を通じたコミュニケーション
・最初のコンセプトを捨てる勇気
だそうです。僕のチームはあれこれ考える前に「とりあえずやってみよう」という感じで始めて、1回目、2回目ともにまずまずの結果が出ました。
ここで学んだことは、とにかくやってみて、作りながら結果を評価し、改善していく。そして二回目のチャンスもあるので、他チームの一回目の結果を参考にしていかにさらに良い結果を出すか、ということです。いわゆるウォーターフォールとアジャイルの違いを実体験で学ばせていただいた感じです。
今回は今年のセミナーの導入ということなので、ウォームアップ的な要素も強かったかもしれませんが、細かいサイクルで仮説検証を繰り返すことの重要さを再認識しました。
HCDにおける視覚化手法について 浅野先生
最後に浅野先生の講義がありました。僕は昨年のHCDセミナーに4回出ている等、何度も先生のお話を聞いているので少しずつ理解が進んできた感じがします。先生がいつも仰るのは、とにかくコトのためのモノという考え方ですよ、ということだと思います。良いUX(ユーザー体験)を提供するために様々なモノ(プロダクト、ソフトウェア、WEBサイト等)が存在するのであって、ユーザーはモノが使いたいのではないということです。
たとえ「iPhoneが欲しい!」という感情があったとしても、それは「iPhoneを使うことによって自分の生活を豊かにしたい!」ということでしか無いということです。つまり、「自分の生活が豊かに」なるのであれば、「iPhone」の部分はなんでもいいわけです。
これは、わかりきったことのようですが、意識していないとモノを作って終わりになってしまうので、今後も気をつけていきたいです。
とにかく「ユーザーはどうなりたいのか」ということに照準を合わせ、その要求に自分のできることで答えてあげられることは無いか?と考え、企画し、作ることが、今後の僕の仕事になると思います。
あと講義では、やはりモバイルは世界を変える可能性を持っているということ、スケッチすることの重要性、一度実際にやってみるということが大切だということを学びました。
それとアクティングアウトの重要性も。このあたりはなかなか腰が重くて出来ないことが多いですが、なんとか業務に取り入れていきたいと思っています。
懇親会はいつもの天狗、その後味仙という鉄板の流れ。まだまだ飲み足りなかった僕らは栄のがブリチキンで飲み直しました。。。
懇親会では浅野先生に「ビジネスモデル・ジェネレーションのWSできませんか?」とお願いしたところ、「じゃあやろうか」と言っていただき、開催の運びとなりました。ごく少数定員での開催となりそうですが、非常に楽しみです。ご参加いただける方は一度僕の方までご連絡下さい。
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